ブックワームのひとりごと

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現実を拒み浪費を繰り返した国王―『ルートヴィヒ』(ルキノ・ヴィスコンティ)

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今日の更新は、ヴィスコンティの映画『ルートヴィヒ』です。

 

あらすじ

ドイツの領邦のひとつ、バイエルンの国王ルートヴィヒ2世が即位した。彼は芸術に耽溺し、浪費を繰り返す。おりしもプロイセンがドイツを統一しようとしている中、バイエルンはオーストリアとの同盟を保ち続けていた……。

 

なあなあで生きることができない人の逃避

泥臭い現実を拒み、空想の中で生きようとするルートヴィヒ。耽美で破滅的な生活を、「国王」という立場が可能にしてしまいます。

浪費に関してはフォローできないんですが、ここに描かれているルートヴィヒは純な人間なのだと思います。美的センスややりたいこと、同性愛など、自分と世の中の乖離に苦しんでいます。なあなあでほどよく生きることができない人なのでしょう。

 

そんな彼が唯一心を許す女性が、オーストリアの后妃エリーザベト。彼女も史実で言えば変わり者なのですが、ここではルートヴィヒをいさめる立場です。ルートヴィヒの婚約者で妹のゾフィーと話すシーンで、彼女は彼を同類だと語ります。

この王族という現実から逃げたいという願いが、エリーザベトにもあったんだろうなと思います。理解できるからこそルートヴィヒをいさめた。しかしその忠告もむなしく、ルートヴィヒは破滅へと進んでいくことになります。

 

3時間と非常に長いうえに、面白くなってくるのが遅いので、見るのは大変でした。

ただ使用されているのがセットではなく本物の城で、ビジュアルはとてもいいです! 衣装も女性のバッスルスタイル、男性のシルクハットとモーニング、軍人の兜! そういうものをたくさん見るのが好きな人にはおすすめです。

全体的にすごくこだわっているので、当時の参考資料としてもおすすめです。

 

まとめ

長いので気軽にお勧めできないですが、19世紀ぐらいの文化が大好きな人にはおすすめです。

じわじわ破滅していくイケメンが見たい人にも!

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ルードヴィヒ二世の生涯---生い立ちの謎から死の真相へ

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