ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

「好きな歌を歌う」ことは商業で歌うことより優れているのか?―樹戸英斗『優雅な歌声が最高の復讐である』

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)

今日の更新は、樹戸英斗『優雅な歌声が最高の復讐である』です。

 

あらすじ・書籍概要

サッカーで挫折しゾンビのような生活を送っていた隼人。そんな隼人のクラスに瑠子という少女がやってきた。彼女は海外で歌手をしており、日本に戻ってきたのだという。隼人は彼女によって合唱コンクールの指揮者に指名され……。

 

ヒロインの結論が子どもに感じてしまった

うーん、ヒロインの出した結論に賛成できませんでした

ネタバレなので詳細は省くんですが、プロ歌手であるヒロインは作中で己がプロであることを否定してしまいます。

私は小説書きなので小説の話をするんですけど……創作者の知り合いで小説家としてプロデビューした人たちは、みんな「売れるもの」と「書きたいもの」の板挟みで悩んでいます。じゃあ、アマチュアのころに書いていた好き勝手に展開させた小説のほうが素晴らしいのかというとそれは違います。

やっぱり需要と書きたいものの相克の中でしか生まれないものっていうのもあると思うんですよね。それを作るのがプロってものじゃないんでしょうか。

アマチュアやインディーズで書いていくこともすごく楽しいけれど、商業として何かを作っていかないと文化は豊かにはならないですよね。

そういうプロにしか作れないものを無視して、「自分の好きな音楽を歌いたい」って言うのは子どもに感じてしまいました。実際、子どもではあるんですけど。

 

面白いと思った部分もあったので何だか残念な気持ちです。ヒロインがテンプレ的ではなく、男の都合のいい感じではなかったのはよかったと思います。強いけれど人間らしいところもあって、主人公を挑発するしたたかさもあってかわいかったです。

でも全体としては楽しめなかったですね。

 

まとめ

私はオタクだからどうしてもヒロインではなくファン側の気持ちになってしまうのかもしれないですね。そこを深く考えなければ面白いのかも。

ヒロインの行動には賛成できなかったけれどいろいろ考えてしまいました。

優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)

優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)

 
なつき☆フルスイング!―ケツバット女、笑う夏希。 (電撃文庫)

なつき☆フルスイング!―ケツバット女、笑う夏希。 (電撃文庫)