ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧

九州の炭鉱で働いていた人々が語る、生き延びるための物語―上野英信『地の底の笑い話』

あらすじ・概要 九州の炭鉱では、今では考えられないほど過酷な労働が行われ、多くの男女がそれに従事していた。仕事の合間に語られるのは、幽霊の話、怠け者の話、ケツワリ(脱走)の話。労働者がろくに守られなかった時代、使用者に支配される中で、生き延…

Joshin(ジョーシン)に頼んでエアコンを掃除してもらったレポ

電気代が上がっているのに厳冬という2023年。このところエアコンの効きが悪く、1時間つけていても温度計は13℃を指しているという状態でした。 エアコンを掃除するとエアコンの効きがよくなると聞いて、Joshinに頼むことにしました。今回はそのレポートを書き…

使用人になって優しく愚かな王女と残酷な暴君の王子の王位継承問題に巻き込まれる―『アレジエ』

あらすじ・概要 先代の王が亡くなったばかりの王国。そこには苛烈で残酷な王子、ミハイルと、明るく優しいけれど流されやすい王女、アルヴィナがいた。プレイヤーは彼らの使用人「ユーリ」となり、交流を深めながらも王位の行方を目撃する。

女性を守るための仕事で行われる女性搾取―竹信三恵子・戒能民江・瀬山紀子編『官製ワーキングプアの女性たち あなたを支える人のリアル』

あらすじ・概要 フルタイムで働いても貧しいままの人「ワーキングプア」。人々を支えるはずの行政の現場でも、ワーキングプアを産んでしまう構造があった。その被害者は主に女性である。編者自身の意見や、実際に公務員で働く女性たちの声を取り上げ、官製ワ…

クラスメイトの男子が女の子になってしまった、周囲の葛藤と受容―八目迷『ミモザの告白』

あらすじ・概要 高校生の咲馬は、ある日男の幼馴染の汐(うしお)がセーラー服を着ているのを目撃する。汐はしばらく学校を休んだ後、女子生徒の制服を着て投稿してきた。「これから女の子として生きる」と宣言した汐に、クラスメイトたちは困惑し、心ない言…

魔者と人、血のつながらない存在同士の関係性を描く―田井ノエル『おちこぼれ退魔師の処方箋 常夜と現世の架橋』

あらすじ・概要 鴉との出会いから一年が経った咲楽は、常夜の生活にも順応していた。そんな中、帰宅途中で男性を襲おうとしている旧鼠を見つけた。同じころ、七色鱗という魔者から、自分の珊瑚を探してほしいという依頼を受ける。

彼氏と別れた女性が東京と京都の神社を巡る―ichida『こっそり行きたい 欲望ご利益神社』

あらすじ・概要 彼氏と別れ、さらにその彼氏にストーカー扱いされてしまった主人公。元彼への恨みつらみや、新しい恋愛への願望とともに、東京の神社を巡る。さらに神道に興味がある同僚とともに京都旅行へ。そこでもさらに神社を巡り、今までのネガティブな…

小学校の非常勤教師が赴任した学校では必ず事件が起こる―東野圭吾『おれは非情勤』

あらすじ・概要 「おれ」は小学校の非常勤講師。赴任した小学校では、いつも何か事件が起こる。ダイイングメッセージを残して死んだ教師、謎の言葉のメモ、ヒ素の入った水を飲んでしまった生徒。「おれ」はその事件を解決する。

願いを叶える神様と、人々の願いの結末―夜諏河樹 『アンテン様の腹の中』

あらすじ・概要 悩む人の目の前に、突然現れる謎の神社。そこにはアンテン様という神様がおり、思いのこもった大切なものを捧げる代わりに願いを叶えてくれるという。アンテン様の神社にたどり着いた人々と、その願いの顛末を語る連作短編。

男装の女軍人と優しい貧乏貴族の自給自足生活―江本マシメサ『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』

あらすじ・概要 極寒の地で暮らす貴族、リツハルドは、男装の女軍人ジークリンデに、初対面でプロポーズしてしまう。利害が一致したふたりは、契約結婚をすることに、トナカイとともに暮らす大地で、自給自足の生活をしながら、ふたりは仲を深めていく。

壱百満天原サロメ嬢の動画おすすめ10選

Vtuberにはほとんど興味のないオタクだったのですが、壱百満天原サロメ嬢がデビューしてから少しずつ見るようになりました。 特に気が滅入っているときに見ると、優しい思想とポジティブな語り口に癒されます。 今回はサロメ嬢のおすすめ動画を紹介します。 …

アルコール依存症の父親を愛したいor許せない?―菊池真理子『酔うと化け物になる父がつらい』

あらすじ・概要 宗教にハマった母と、毎回泥酔するほどお酒を飲んでしまう父。母は嫌がりながらも父と飲み仲間の世話をしていた。著者はそんな両親とともに生活していた。やがて母が自殺し、父の世話は著者と妹の仕事になる。アルコールに依存する父に振り回…

「自分らしく」生きられる社会はなぜこんなにも苦しいのか―宇野重規『〈私〉時代のデモクラシー』

あらすじ・概要 昔より多様性が認められ、自由になったはずなのに、なぜ現代社会は生きづらいのか……。現代の社会学者や過去の哲学者の著作を紐解き、現代社会の「断絶」の解説に挑む。思索することで見えてきた、政治への不信感や虚無感の正体とは。

魔者を倒せず、癒す退魔師が薬師の人外に拾われる―田井ノエル『おちこぼれ退魔師の処方箋 常夜ノ國の薬師』

あらすじ・概要 退魔師の家系に生まれた咲楽。しかし彼女には退魔の力はなく、魔者を癒す力があった。癒しの力の代償に体に穢れを貯め込んだ咲楽は、常夜で暮らす魔者鴉に拾われる。薬師である彼は咲楽を「商品」として店に置いた。ふたりの奇妙な共同生活が…

「よい死」すなわち人間の尊厳なのか―安藤泰至『安楽死・尊厳死を語る前に知っておきたいこと』

あらすじ・概要 欧米を中心に認められつつある「安楽死・尊厳死」。日本でも安楽死の合法化を主張する人が増えている。しかし安楽死を認めることで、適切な医療を受けて生活することや、延命治療をすることそのものが「悪いこと」のように見なされないか。患…

浅ましく愚かな「反面教師」としてのギャンブル依存症―井川意高『熔ける 大王製紙前会長井川意高の懺悔録』

あらすじ・概要 製紙会社の三代目として生まれ、社長として大王製紙に君臨してきた井川意高。彼はカジノに狂い、子会社のお金に手を付けて何十億円も浪費してきた。著者自身が自分の生い立ち、社長時代のこと、お金を使わせるカジノの巧妙な罠を振り返る。東…

「感動」「泣ける」の視点から障害者の表象を問う―好井裕明『「感動ポルノ」と向き合う 障害者像にひそむ差別と排除』

あらすじ・概要 巷にあふれる障害者をめぐる「感動」ストーリー。しかしそれは当事者の思いや多様性を反映しているとは言えないのではないか。様々な作品を取り上げつつ、フィクションやドキュメンタリーの中の障害者の表象を考えていくブックレット。 排除…

体は男だが性辞任が女の王女様が男でも女でもない妖精に恋をする―黒井あがさ『ロイヤル・ガーデンの友人』

あらすじ・概要 男性の身体を持つが性自認は女の王女、マイルス。公務のときは男性の格好で、プライベートは女装して過ごしている。そんなマイルスの友人は、男か女かわからない白の妖精、オウ。マイルスはオウに恋心を抱くが、性別のないオウはその感情に応…