ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

家族

発達障害の夫が壊れかけた家族を再構築する―遠藤光太『僕は死なない子育てをする 発達障害と家族の物語』

あらすじ・概要 大学を出てすぐに若くして結婚し、子どもをもうけた著者。しかし強いうつ症状に襲われ、復帰と休職を繰り返してしまう。家族がばらばらになりそうな中、著者は自分が発達障害であることを知った。発達障害の特性を考えながら、家族を再構築し…

介護殺人の恐ろしさと、防ぐために世の中は何ができるか―毎日新聞大阪社会部取材班『介護殺人 追い詰められた家族の告白』 

あらすじ・概要 社会問題になっている介護のこと、そして思いつめた結果介護していた相手を殺害してしまう人がいる。毎日新聞大阪社会部取材班は、介護殺人をしてしまった人々に取材を申し込んだ。重たい口を開いた彼らが語るのは、壮絶な介護の実態だった。…

職場復帰後奔走する女性と、働く母親への差別―あい『いけいけどんどん!ワーママ奮闘記』

あらすじ・概要 育児休暇の後、会社に復帰することになった著者、子どもと長く過ごせなくなることを悲しく思いながらも、好きなデザインの仕事を必死で頑張る。ときに夫といさかいながらも、何とか仕事を続ける一方、職場からは収入の当てにしていた手当をな…

小六にして中学受験をしたいと言い出した息子を応援する夫婦―細川貂々『なぜか突然、中学受験』

あらすじ・概要 漫画家・イラストレーターの細川貂々と専業主夫のツレの間に生まれた息子、ちーと君。小学6年生になった彼は突然中学受験をしたいと言い出す。戸惑いながらも、夫妻は息子の受験勉強を応援するために奔走する。 本人がやりたいことをどう応…

子どもになった親のために施設探し―細川貂々『親が子どもになるころに――てんてん、介護問題に直面す。』

あらすじ・概要 漫画家の著者にはひとり暮らしの父がいた。仕事を続けまめに掃除をし、生活を続けていた。しかしあるときから認知症の兆候が見え始め、施設に入れることを考え始める。施設探しの日々、ままならない父親の行動を描きながら、子どもが老いた親…

ダウン症の子育てを明るいコメディタッチで描く―たちばなかおる『ユンタのゆっくり成長期 ダウン症児を育てています』

あらすじ・概要 長男として授かった赤ちゃんはダウン症児だった……。行政や福祉の力を借りつつ、発達がゆっくりの子どもを家族で見守る。ダウン症の子育ての理不尽なところ、うまくいかないところを描きながらも、コメディタッチで進行するコミックエッセイ。

イスラム教徒の男性と結婚したらカルチャーショックを受けた―ハスナ『笑える 腹立つ イスラム夫と共存中』

あらすじ・概要 海外旅行をしていた著者は、それがきっかけでイスラム教徒の男性と結婚することになる。神を信じる男と信じない女、文化の違いは大きくて……。コミカルな描写ながらもイスラーム文化と日本文化を比較するコミックエッセイ。 私たちと違った倫…

東京の「女性の貧困」を追う上で見えてきたもの―中村淳彦『東京貧困女子。 彼女たちはなぜ躓いたのか』

あらすじ・概要 かつてアダルトビデオや風俗のライターをしていた著者は、女性編集者と組んで東京に住む人々の貧困を取材する。風俗で働く女子大生、生活がままならないシングルマザー、障害年金で暮らす障害者など、困窮する女性たちは今何を語るのか。 正…

双極性障害の夫を支えるうちに妻がうつになってしまった―彩原ゆず『夫婦で心を病みました 優しい夫が双極性障害を発症したあの日から』

あらすじ・概要 仕事のストレスでうつになってしまった夫、休息を経て少しずつよくなっていくが、しばらくして夫に異変が訪れる。浪費をし、常にいらだちものに当たるようになり、ついに著者にも手を上げるようになった。追い詰められた著者は、自分も自殺を…

マジョリティの人間が「小さな差別」を軽く考えるのはどうかと思う―鈴木大介『ネット右翼になった父』

あらすじ・概要 父を亡くした著者は、ネット右翼的な思想に傾倒した父について記事に書く。しかしその後、自分は父のことを本当に知っているのかと疑問を持った。家族に聞き取りを行い、父の過去を紐解くにつれて、父親の本当の姿が見えてきた。

抑圧された中華系女性がマルチバースからすべてを得、娘を救う―『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』

あらすじ・概要 中華系移民のエヴリンは、夫ウェイモンドとともに税金の申請をしようとしていた。その途中で、ウェイモンドが別人のように変貌し、彼女にマルチバースを救ってほしいと頼む。彼はアルファ・レイモンド、他の世界からやってきた人間だった。エ…

双極性障害の母を支えた著者と家族の物語―まりげ『700日間の絶望トンネル』

あらすじ・概要 別居している母が自殺未遂をしたという報告を受け、著者は混乱する。どうやら母は双極性障害だということがわかり、入院治療ののち、著者の近くで暮らすこととなった。しかし母親の躁うつの波に振り回され、著者は苦悩する。

アルコール依存症になったOLの妹との共依存と卒業―かどなしまる『人生が一度めちゃめちゃになったアルコール依存症OLの話』

あらすじ・概要 社会人として事務の仕事をするも、職場の人間関係の悪さから、ストレスをため込んでいた著者。「お酒を飲んでから出勤すると平気」ということに気づき、飲酒をしてから仕事をするようになる。同居の双子の妹と諍い、家に帰れなくなっても、そ…

男装の女軍人と優しい貧乏貴族の自給自足生活―江本マシメサ『北欧貴族と猛禽妻の雪国狩り暮らし』

あらすじ・概要 極寒の地で暮らす貴族、リツハルドは、男装の女軍人ジークリンデに、初対面でプロポーズしてしまう。利害が一致したふたりは、契約結婚をすることに、トナカイとともに暮らす大地で、自給自足の生活をしながら、ふたりは仲を深めていく。

アルコール依存症の父親を愛したいor許せない?―菊池真理子『酔うと化け物になる父がつらい』

あらすじ・概要 宗教にハマった母と、毎回泥酔するほどお酒を飲んでしまう父。母は嫌がりながらも父と飲み仲間の世話をしていた。著者はそんな両親とともに生活していた。やがて母が自殺し、父の世話は著者と妹の仕事になる。アルコールに依存する父に振り回…

毒親から生き延びた人が励まし合うようなコミックインタビュー集―菊池真理子『毒親サバイバル』

あらすじ・概要 アルコール依存症の父と宗教にハマった母を持つ著者は、大人になってから自分の家庭が普通ではないと気づく。著者は自分以外の「毒親」を持つ人々に取材し、そのエピソードを漫画にすることにした。劣悪な家庭環境をサバイブしてきた人々の、…

成長していく人間に寄り添う面白さが描かれている―ひこちゃん『小学生男子は本日も晴天なり!』

あらすじ・概要 働きながら息子を育てている漫画家である著者。小学生の息子と送る日々は、刺激的で面白い。息子と旅行に行ったときのこと、自由研究をしたときのこと、小学校受験に挑戦したときのことなど、息子との生活をコミカルに描いたコミックエッセイ…

違いを面白がれるタフさに救われる―星野ルネ『アフリカ少年が日本で育った結果』

あらすじ・概要 日本人男性とカメルーン人女性が結婚し、母親の連れ子として日本にやってきた星野ルネ。幼い頃から日本で暮らしているため、母国語は日本語。周囲の日本人とは全く違う外見のため、何かと誤解を受けることが多く……。世の中の先入観や文化の違…

50代になって外で働きたい!と思った主婦イラストレーターの奮闘―高橋陽子『50代からのお仕事探しアタフタ日記』

あらすじ・概要 主婦、イラストレーターとして活動してきた著者は、52歳になって子育てにもひと段落し、外で働きたいと思うようになる。しかし長く職に就いていなかった著者は職歴に書くことがなく、52歳という年齢の壁もあって面接に苦戦する。年をとっても…

統合失調症になった猫画家が妻の願いとともに苦しみの中を歩む―『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』

あらすじ・概要 画家として、亡くなった父に代わり妹たちを養うルイス・ウェイン。妹たちの家庭教師、エミリーと恋に落ちた彼は、身分違いの結婚をしてしばらく幸せに暮らす。しかしエミリーが末期の乳がんだとわかる。妻を看取ったあと、ルイスは猫を描く画…

母親に虐待された男性が母親との関係に決着をつけるまで―歌川たいじ『母さんがどんなに僕を嫌いでも』

あらすじ・概要 不安定な家庭に育ち、母親から暴力と暴言を受けていた著者。長じて一流企業に入社するが、そこでかつての母親のようになっている自分に気づく。そんなとき、手を差し伸べてくれたのは友人たちだった。同性パートナーも得て自分の幸せを送って…

能の話より認知症の母の国際的介護問題のほうが面白い―梅若マドレーヌ『レバノンから来た能楽師の妻』

あらすじ・概要 レバノン内戦ゆえに故郷を離れ、学生をしていた著者はあるとき能楽師の息子と出会う。彼と結婚することになった著者は、能楽における古いしきたりや価値観に戸惑いつつも夫を支える。夫は著者とともに、新しい能楽のスタイルを表現するため活…

とある漁港で暮らす小学生が自分のルーツを知る―『漁港の肉子ちゃん』(アニメ映画版)

あらすじ・概要 とある漁港の古い船に母親と一緒に暮らしている喜久子。その母、肉子はちょっとお馬鹿で太っていて、でも明るい性格の女性だ。周囲より少し大人びている喜久子は小学校に通い、クラスメイトと交流しつつ、自分の存在に思い悩むようになる。友…

突然父親になった中年男性の戸惑いと適応―渡辺電機(株)『父娘ぐらし 55歳マンガ家が8歳の娘の父親になる話』

あらすじ・概要 50歳を過ぎてひとり身で、このまま家族を持たず暮らしていくのだと思っていた著者。しかし二児を持つシングルマザーと結婚することになり、この年にして突然の子持ちに。さらに家庭の事情で8歳の娘とふたり暮らしをすることに。著者は戸惑い…

身内を立て続けに亡くした著者が自分の父親の人生を振り返る―時田『身内の死比較漫画』

あらすじ・概要 著者の元に届いた父の訃報。末期がんに侵されていた父は、DV気質ゆえに著者の母と離婚し、今は孤独な人生を送っていた。良い思い出のない父親の葬儀に参加し、何だかんだ彼を弔った著者だったが、しばらくして今度は祖父が危篤状態に。短期間…

恋愛や家族に夢を持てない女性が母親になる―ヤマダカナン『母になるのがおそろしい』

あらすじ・概要 結婚し、子どもを考える年頃になってきた著者。夫は子どもを持ちたいというものの、著者にはトラウマがあった。それは恋愛依存の母親に育てられたこと。ろくでもない男をとっかえひっかえする母親の影響で、著者は恋愛に夢を見られなくなって…

最高裁の判決とそれを出した裁判官たちの裏事情―川名壮志『密着 最高裁のしごと―野暮で真摯な事件簿』

あらすじ・概要 三審制の最後の砦最高裁判所。そこではどのような判決が出ているのか、また、どのような裁判官が判決を出しているのか。最高裁のシステムやつくりを解説しつつ、「法の番人」の姿を暴き出す。

価値観の違う人間が家事を協力して行うには話し合いが必要―倉田けい『倉田家は今日もわが家ルール見直し会議中!』

あらすじ・概要 フリーランスと勤め人の共働きである著者夫婦。彼らは「家事の分担」のために頻繁に会話をして作戦を立て、実行、フィードバックをしている。話し合いながら家事を分担する方法と、お互いストレスを溜めずに生活する工夫を描いたコミックエッ…

「かわいそうな」加害者家族だけが助ける価値があるのではない―阿部恭子『加害者家族を支援する 支援の網の目からこぼれる人々』

あらすじ・概要 ある日突然家族が犯罪者になってしまったら――。加害者家族の支援活動をしてきた著者が、家族の犯罪に困惑し、傷つき、葛藤する彼らの姿を語る。排除され孤立する加害者家族のために社会は何ができるのか、そして、新たな犯罪を防ぐために支援…

大嫌いだった母親に似ていることを受け入れることで自分を俯瞰的に見られるようになる―上村秀子『親ガチャにハズれたけど普通に生きてます』

あらすじ・概要 子どものころ、親が離婚し、実母と義父と暮らすことになった著者。しかし離婚をきっかけに母は子どもにつらく当たるようになる。大人になってそんな母親から離れたくなり、実家を出て自立するも、しばらくして母親が自殺してしまう。ショック…