ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

『統合失調症』村井俊哉 岩波新書 感想

あらすじ・概要 精神疾患のひとつ、統合失調症。珍しくない病気でありながら、多くの人がこの病気を誤解している。まだ解明しきれていない統合失調症に関する仮説から、投薬治療、患者が社会に受け入れられるために医者ができることなど、一般の人にも役立つ…

『後宮の薬師 平安なぞとき診療日誌』小田菜摘 PHP文芸文庫 感想

あらすじ・概要 大陸から来た父から薬を学んだ薬師、安瑞蓮は、腕を買われて宮中に上がる。そこで、体の不自由な皇子に出会う。皇子の身体を診ているうちに、瑞蓮は、後宮の女性たちのいざこざや嫉妬に巻き込まれていく 体に障害を持つ皇子をめぐる女性の悲…

『さいごの色街 飛田』新潮文庫 井上理津子 感想

あらすじ・概要 大阪に唯一残った遊郭街、飛田。著者はその実像をつかもうと、飛田に飛び込む。遊郭を運営していた人たちや、ヤクザとの関係、飛田特有の複雑なシステムを知り、著者は性産業と女性をめぐる問題について考えることになる。 ルポルタージュに…

『クララ白書』氷室冴子 集英社コバルト文庫 全2巻 感想

あらすじ・概要 中高一貫の女子高に通うしーのは、中等部の途中から寄宿舎であるクララ舎に入ることとなる。しかし、クララ舎に途中入寮するイニシエーションとしてドーナツを揚げさせられて……。女の園で暮らす女の子たちのトラブル、日常、友情を描いた連作…

『華は天命を診る 莉国後宮女医伝』小田菜摘 角川文庫 感想

あらすじ・概要 医学校を卒業した翠珠は、ひょんなことから後宮で働くこととなる。翠珠は陰謀や噂が蔓延る後宮での労働にうんざりするものの、医術を通して妃たちの悩みを解決するうちに、彼女らの複雑な事情を知ることとなる。 人間観やジェンダー観がシビ…

『ものいわぬ農民』大牟羅良 岩波新書 感想

あらすじ・概要 戦後の日本、岩手で行商人をやっていた著者は、そこで農民たちの困窮や、独特の文化、閉鎖的な社会での悩み事を知る。岩手の人々のために役立ちたいと思いながら、インテリ層として人々との距離感に悩む。当時もっとも乳児の死亡率が高かった…

『関東大震災と流言 水島爾保布 発禁版体験記を読む』前田恭二 編著 岩波ブックレット 感想

あらすじ・概要 関東大震災で大きな被害を受けた東京。画家,文筆家であった水島爾保布は地震発生直後から、デマや流言に惑わされる人々の姿を書き残していた。災害による混乱、恐怖。そして朝鮮人や、朝鮮人に間違われた人たちの虐殺が発生する。関東大震災…

『読んでもらえるnote術 大切な「最初の1か月」の取り組み方』ももんか KDP 感想

あらすじ・概要 多くの人が集う作品投稿サイト、note。著者がそこで得たnoteにおける読んでもらう工夫を発信する。記事の中身のこと、アイキャッチのこと、スキ機能のことなど、初心者にもわかるnoteの使い方とは。 短めのnoteの使い方 あらためてnoteのこと…

岩波ブックレットのおすすめ本まとめ22選 労働問題・人権・メンタルヘルス

今日の記事は、岩波ブックレットのおすすめ本です。 岩波ブックレットとは、岩波書店が出版しているA5サイズの小冊子です。時事問題や社会問題について、コンパクトにまとまった文章が読めます。 岩波ブックレットの中から、大まかにカテゴリ分けしつつ、 私…

『河北新報のいちばん長い日 震災下の地元紙』河北新報社 文春文庫 感想

あらすじ・概要 仙台に拠点を置くローカル新聞河北新報。2011年3月11日、会社を東日本大震災が襲う。自らも被災しながら、記者たちは被災者に情報を届けるために東北に散った。地震発生直後から、避難所での生活まで、記者たちの働きを描いたルポルタージュ…

『キラキラしてない駐在妻はアメリカでどう暮らしたのか(旅行編)』倉くらの KDP 感想

あらすじ・概要 夫の駐在によってアメリカに移り住んだ著者。せっかくアメリカに来たのだから、アメリカでしか行けないところに行きたい。そう思った著者はアメリカの自然を楽しんだり、ディズニーリゾートを満喫したりする。旅の楽しさと苦労を描いたエッセ…

『サクリファイス』近藤史恵 新潮文庫 感想

あらすじ・概要 ときに敵に順番を譲り、ときにチームメイトのために犠牲になる。独特な文化を持つ自転車競技に魅せられた主人公は、選手として戦っていた。しかし、彼はチームメイトにまつわる疑惑を知ってしまう。不安や疑念の中、事件が起こる。 独特な文…

『はじめてのグラフィックレコーディング』久保田麻美 翔泳社 感想

あらすじ・概要 会議や会話をリアルタイムでイラスト化し、理解の一助とするグラフィックレコーディング。簡単な絵で「わかる」イラストを描く方法や、表情や動きのつけ方、図形によって絵を描く方法を解説する。グラフィックレコーディングによって、便利に…

『古文書返却の旅―戦後史学史の一齣』網野善彦 中公新書 感想

あらすじ・概要 日本史を研究していた著者は、各地方から借用した古文書が借りたまま返せていないことから、古文書返却の旅に出る。著者は各地を回り、不義理を謝罪しながら、学者の地元民への軽視を考える。日本史研究の負の側面を伝える新書。 研究者の後…

『皇女アルスルと角の王』鈴森琴 創元推理文庫 感想

あらすじ・概要 人より強い力を持つ生き物「人外」がはびこっている世界。父親を殺害したとして濡れ衣を着せられた皇女アルスルは、裁きの過程で人外リザシーブと出会う。予言の力を持つリザシーブは、アルスルに奇妙な予言をする。アルスルは、リザシーブと…

『問題社員の正しい辞めさせ方』新田龍 リチェンジ 感想

あらすじ・概要 パワハラ、サボり、セクハラなど、職場の困った人たち。しかし、その人たちを合法的に辞めさせようとするのは困難が多い。労働法の事例を紹介しつつ、あくまで遵法的に困った社員との付き合い方、辞めさせ方を模索する。 問題社員でも辞めさ…

『寺よ、変われ』高橋卓志 岩波新書 感想

あらすじ・概要 「葬式仏教」と言われ、儀礼的な葬式や法事の運営に終始している日本仏教。著者はそんな仏教に不満を感じ、寺に人を呼んだり、ボランティア活動に参加したりして新しい仏教の形を模索する。仏教を支えていたイエ制度が崩壊する中で、今の仏教…

『ファンが増えるインスタの教科書』金山拓夢 総合法令出版 感想

あらすじ・概要 画像と動画が主体のSNS、Instagram。著者はそこでのプロモーションの仕方や自分のファンになってもらう方法を教える。Instagramでビジネスをやるこつ、面白いと思ってもらえるテクニックとは。 そんなに手軽に稼げてたまるかだけど、内容は面…

『にわか姫大夫の宮中事情~男装女官のお仕事』小田菜摘 ビーズログ文庫 感想

あらすじ・概要 女性ながらに弓や乗馬をし、男勝りの女性として地元で有名だった梢子。彼女は宮中に上がり、男装の女官姫大夫として天皇に仕えることとなる。そこでは尚侍失踪事件が起きていた。好色な今上帝の求愛を交わしながら、梢子は尚侍の行方について…

『はじめてのフェミニズム』デボラ・キャメロン ちくまプリマ―新書 感想

あらすじ・概要 フェミニストはなぜ対立し、意見が分かれるのか。フェミニズムの歴史や、それぞれのテーマの意見が分かれる点について、丁寧に解説していく。対立を対立のまま理解し、フェミニズムのこれからを考える、 フェミニズムの抱えるややこしい問題…

『被害者家族と加害者家族 死刑をめぐる対話』原田正治・松本麗華 岩波ブックレット 感想

k あらすじ・概要 殺人事件の被害者の兄と、地下鉄サリン事件を起こした教祖の娘。彼らはお互いに何を感じ、何を語るのか。対話から見えてくる、現代日本の人権の問題、同調圧力やステレオタイプの押し付け。話すことによって問題を捉え直すことを試みる本。…

『地域を変えるソーシャルワーカー』朝比奈ミカ・菊池馨実編 岩波ブックレット

あらすじ・概要 社会的弱者を支えるソーシャルワーカーは、コロナ禍の中どう行動し、何を考えていたのか。ソーシャルワーカーの書いた記事や対談を通して、コロナ禍の中の人々の苦難と、コロナ禍以降の福祉の可能性を語る。 コロナ禍の元でのソーシャルワー…

『神抱く凪の姫~キレ神様、お目覚めにございます~』響野夏菜 ビーズログ文庫 感想

あらすじ・概要 自分の身をもって悪神を封じる娘、沙綾の前に、解放された祟り神、嵐嶺が現れる。封印の影響で慢性的な体調不良になっていた沙綾は、封印が説かれて元気になって大喜び。自分が健康でい続けたいのもあり、嵐嶺のことを構い、彼を悪神でなくし…

『ミモザの告白3』八目迷 ガガガ文庫 感想

あらすじ・概要 勝ち気で短気なクラスメイト、西園。女の子として生きることにした汐のことも受け入れることができず、攻撃的な態度を取る。西園はクラスのプレイボーイ世良といさかいをして暴力を振るってしまう。過去にも問題を起こした西園は、退学の危機…

『女たちの韓流――韓流ドラマを読み解く』山下英愛 岩波新書 感想

あらすじ・概要 韓国ドラマのストーリーには、フェミニズムやジェンダー観の変遷が現れている。韓流ドラマの大ファンの著者が、韓流ドラマの歴史を追いながら、韓国の女性たちにとっての韓流ドラマを語る。 生き生きとした韓国ドラマとジェンダーの批評 何よ…

『キラキラしてない駐在妻はアメリカでどう暮らしたのか』倉くらの KDP 感想

あらすじ・概要 夫のアメリカ駐在についていったオタク妻は、そこでアメリカの文化に適応するため苦労する。子どもの教育のこと、夫の仕事のこと、日本人同士のつきあいのことなど、アメリカで暮らした人にしかわからないエピソード盛りだくさんのエッセイ。…

『おこぼれ姫と円卓の騎士』石田リンネ ビーズログ文庫 感想

あらすじ・概要 上の兄弟の政争の影響で、王位を継ぐことになった「おこぼれ姫」は、その政治的立場の危うさから気を遣う毎日を過ごしている。ツィアは、まだ誰の騎士でもない青年、デュークに自分の騎士になるよう要求する。 主人公がいやいやながら政治を…

読書のオタクが電子書籍端末「likebook P6」を買ってみたメリット7つとデメリット4つ

「likebook P6」を買ってみたのでその感想です。 どうしてlikebook P6を買おうと思ったのか 「likebook P6」はAmazonでは売っていない メリット 薄い・軽い 目が疲れない 漫画本をグレー背景で読める 片手で操作できる ゲームを周回しながら読書できる、実質…

『オタクな主婦がBL同人小説を打って夢を叶えた話』倉くらの KDP 感想

あらすじ・概要 ダウンロード形式の同人コンテンツを売れるDLsite。そこでBL小説を売ることに挑戦した著者が苦労や過程を語る。自分の作品を買ってもらうため、プロモーションするには何ができるかを考える。 乙女ゲームを作ってみたかったけれど手間の問題…

『ルポ 高学歴発達障害』姫野桂 ちくま新書 感想(と自分語り)

あらすじ・概要 高い知能を持ちながら、日常生活や仕事に困難を抱える高学歴発達障害の人々。自身も発達障害である著者は、高学歴発達障害の人々に取材し、その悩みについて耳を傾ける。今苦しんでいる人、苦しみから抜けて居場所を見つけた人、それぞれの現…