ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

異文化

『ダンピアのおいしい冒険』トマトスープ イースト・プレス 全6巻 感想

あらすじ・概要 貧乏だけれど学問に焦がれるダンピアは、私掠船に乗って旅をしている。船では保存食が乏しい。したがってその土地で入手した動植物を調理し、食べた。やがてダンピアの旅路は、波乱万丈なものとなる。 憧れと倫理のなさが共存する大航海時代…

『JK、インドで常識ぶっ壊される』熊谷はるか 河出書房新社 感想

あらすじ・概要 家庭の事情でインドに移住することになった著者家族は、インドの文化の違いにカルチャーショックを受ける。インドの宗教や食文化、貧困や犯罪の問題。やがで著者はボランティアサークルに所属し、そこでの活動から社会のと関りや、社会にとっ…

『イタリア家族 風林火山』ヤマザキマリ ぶんか社 感想

あらすじ・概要 イタリア人男性と結婚し、イタリアで暮らすヤマザキマリ。個性的でパワフルすぎる家族に振り回される毎日をユーモラスに描く。著者と夫のプロポーズのエピソードや、ヤマザキマリが漫画家になったきっかけのエピソードも収録。 家族に振り回…

『病が分断するアメリカ――公衆衛生と「自由」のジレンマ』平体由美 ちくま新書 感想

あらすじ・概要 先進国で最も新型コロナウイルスの被害が大きかったアメリカ。アメリカの反ワクチンや反マスクの思想から、アメリカの分断を語る。アメリカに蔓延する医療、政治への不信感の原因とは……。 公衆衛生に反抗する人たちの事情 楽しい内容の本では…

『<超・多国籍学校>は今日もにぎやか! 多文化共生って何だろう』菊池聡 岩波ジュニア新書 感想

あらすじ・概要 横浜市には、外国の人、あるいは外国にルーツのある人々が暮らす団地がある。そこにある小学校もまた、外国籍の子どもや親が外国籍の子どもたちを受け入れている。多様な文化を持つ人々を受け入れ、一緒に暮らしていくための、小学校の取り組…

水野俊平『台湾の若者を知りたい』岩波ジュニア新書 感想

「台湾は親日、と言われる中で、台湾の文化や生活を知っている日本人は少ない」という意見は本当にそうです。この本は、身近であるはずなのに知らない台湾の若者文化について書かれています。 台湾の抱える国際問題にはさらりと触れただけで、学校制度のこと…

【軍事学者が語る、侵略国家になってしまった国の日常と文化】小泉悠『ロシア点描 まちかどから見るプーチン帝国の素顔』

あらすじ・概要 ウクライナへの侵略によって、「プーチン帝国」と独裁国家として語られるようになったロシア。そこで日常を過ごす国民たちはどんな暮らしをしているのか。軍事学者である著者は、自身のロシアでの生活を振り返りながら、ロシアに生きる人々の…

【文化人類学者がろう者の世界に飛び込んだら違いだらけだった】亀井伸考『手話の世界を訪ねよう』感想

あらすじ・概要 ろう者の世界を想像するときに、つい「聞こえなくてかわいそう」という思考になってしまう。しかし著者がろう者の世界に飛び込んだところ、そこでは豊かなコミュニケーションがなされていた。ろう者のための言語、手話を紹介しつつ、健常者と…

【イタリア人男性と結婚したら相手の実家がすごかった】ヤマザキマリ『モーレツ!イタリア家族』

あらすじ・概要 イタリアで絵の勉強をしていたヤマザキマリは、そこでイタリア人男性と結婚する。彼の家族と生活することになるが、そこではいつもトラブル続きだった。息子を溺愛する義母、エンジニアでおかしな道具を作る義父、そして夫の父方、母方の祖母…

【アメリカ先住民の少女とイギリス人の対比がかわいそう】ディズニーアニメ『ポカホンタス』

あらすじ・概要 イギリスからアメリカにやってきたジョン・スミスは、アメリカ先住民の少女、ポカホンタスと恋に落ちる。しかし金を探しに来た探検隊たちは、先住民たちを排除しようとする。先住民たちも戦うしかないと戦の準備をするが、ポカホンタスはそれ…

【夢を追うバンシーとお調子者のインフルエンサーサテュロスの出会い】『コーヒートーク2 ハイビスカス&バタフライ』

あらすじ・概要 さまざまな種族の人たちが集う喫茶店、コーヒートーク。雨季のある日やってきたのは、オペラ歌手にあこがれるバンシー、リオナと、サトゥルスのインフルエンサールーカスだった。インターネットに苦手意識のあるリオナは、SNSを使って器用に…

【漫画家が憧れの国に移住して楽しんだり苦労したり】市川ラク『わたし今、トルコです』

あらすじ・概要 トルコの文化が好きな著者。親の介護が始まらないうちにと、トルコで暮らすことを決意する。トルコでの生活はホームステイから始まった。政情が不安定で、日本と価値観の違うトルコでは、いいことも悪いことも起こって……。 トルコで起こるテ…

イスラム教徒の男性と結婚したらカルチャーショックを受けた―ハスナ『笑える 腹立つ イスラム夫と共存中』

あらすじ・概要 海外旅行をしていた著者は、それがきっかけでイスラム教徒の男性と結婚することになる。神を信じる男と信じない女、文化の違いは大きくて……。コミカルな描写ながらもイスラーム文化と日本文化を比較するコミックエッセイ。 私たちと違った倫…

日本の法律やシステムのせいで困難に立たされた外国人たち―安田菜津紀『隣人のあなた 「移民社会」日本でいま起きていること』

あらすじ・概要 日本に逃れてきた難民、働きにやってきた技能実習生など、日本には様々な外国人や外国にルーツを持つ人々がいる。しかし一部の人たちは日本の法律やシステムのせいで、苦境に立たされている。困難に巻き込まれた日本に住む外国人たちを紹介し…

違いを面白がれるタフさに救われる―星野ルネ『アフリカ少年が日本で育った結果』

あらすじ・概要 日本人男性とカメルーン人女性が結婚し、母親の連れ子として日本にやってきた星野ルネ。幼い頃から日本で暮らしているため、母国語は日本語。周囲の日本人とは全く違う外見のため、何かと誤解を受けることが多く……。世の中の先入観や文化の違…

能の話より認知症の母の国際的介護問題のほうが面白い―梅若マドレーヌ『レバノンから来た能楽師の妻』

あらすじ・概要 レバノン内戦ゆえに故郷を離れ、学生をしていた著者はあるとき能楽師の息子と出会う。彼と結婚することになった著者は、能楽における古いしきたりや価値観に戸惑いつつも夫を支える。夫は著者とともに、新しい能楽のスタイルを表現するため活…

中国語を話せない台湾人が、中途半端な自分を肯定できるようになるまで―温又柔『「国語」から旅立って』

あらすじ・概要 日本で育った台湾人である著者は、長じるにつれ「台湾人なのに中国語を話せない自分」に悩むようになる。高校で中国語を学び、大学でも引き続き中国語を選択するが、その過程でも違和感がなくならなかった。「自分は自分」として著者が自分を…

冤罪をかけられようとする青年と、警察官の有色人種同士の即席バディ―シマ・シンヤ『ロスト・ラッド・ロンドン』

あらすじ・概要 ロンドンの市長が地下鉄で殺害された。大学生のアルは、同じ電車に乗っていたこと、ポケットに血まみれのナイフが入っていることから容疑者として浮上してしまう。「彼は犯人ではない」と考えた警察官のエリスは、彼を冤罪からかばい真犯人を…

三国志のオタクが推しのために中国に渡り名所めぐり―杜康潤『杜康潤のトコトコ三国志紀行』

あらすじ・概要 三国志が大好きで、三国志のことを調べるために中国へ留学までした漫画家、杜康潤。著者が中国旅行で巡った三国志ゆかりの土地や、三国志についてのテーマパークの内容を、コミックエッセイ形式で語る。巨大な中国では移動するだけで一苦労で…

日本で育ったアフリカ少年のカメルーンと日本の家族の話―星野ルネ『まんが アフリカ少年が日本で育った結果 ファミリー編』

あらすじ・概要 日本人とカメルーン人の間に生まれ、アフリカで生まれ日本で育ったカメルーン人、星野ルネは、その外見から先入観を持たれることが多かった。そんな彼は家族とのエピソードやカメルーンと日本の文化の違いなどをコミックエッセイとして発表。…

国際結婚した女性が、語学学校に通いながらドイツ文化に触れる―白乃雪『とつげきドイツぐらし!』

あらすじ・概要 国際結婚し、ドイツに移住することになった著者。語学学校でドイツ語を学びながら、ハンブルグの町で暮らしていく。目の当たりにしたのはドイツ文化と日本文化の違いだった。ドイツ人の興味深い習慣や、クリスマスや新年などの年中行事まで、…

パワフルで正直なフィリピン出身の妻に振り回されている―前田ムサシ『フィリピンかあちゃん奮闘記』

あらすじ・概要 漫画家として芸の肥やしに行ってみたフィリピンパブで、出会った今の妻。結婚してみると、彼女はパワフルで正直で、強烈な個性の持ち主だった。著者は彼女に振り回される日々を送るが……。フィリピン人の家族と暮らす日々を、4コマで描くコミ…

サバイバルの中敵対勢力を処刑したら母星で終身刑前提で裁かれた―沢村凛『リフレイン』

あらすじ・概要 宇宙船のトラブルによって無人の惑星に不時着した人々は、イフゲニアという国家を作って生き残りを図った。しかしイフゲニアのあり方に反抗する勢力が現れ、イフゲニアの人々はそのひとりを処刑する。人々が救助されたあと、処刑を実行したラ…

日本人女性が家族とともにロンドン暮らし―玖保キリコ『ロンドン丼 英国暮らしは毎日がドッキリコ!』

あらすじ・概要 イラストレーターの著者は夫と子どもとともに、イギリスの首都ロンドンで暮らしている。ロンドンでの暮らしは文化の差を強く見せつけられることが多い。外国人から見たロンドンの姿を、エッセイと漫画で語る。

ヒーローとヒロインの言葉が通じないファンタジー―山咲黒『呪われた伯爵と月愛づる姫君 おとぎ話の魔女』

あらすじ・概要 入内を控えていた少女、待宵は、目覚めると自分が知らない場所へ迷い込んでいるのに気づく。身寄りのない彼女の面倒を見てくれたのは、ジーン=バイロン伯爵。言葉がわからないなりに交流をしていくふたりだが、ジーンが待宵を助けたのには理…

極寒の街で街じゅうの人に歓迎される―まえだなをこ『世界で一番寒い街に行ってきた ベルホヤンスク旅行記』

あらすじ・概要 「世界で一番寒い街に行ってみたい!」と、Facebookでガイドしてくれる人を探し、飛行機を乗り継いでベルホヤンスクに向かった著者一行。そこは、濡れたシャツですら凍る街だった。著者たちは、珍しい異邦人として街の人にさまざまな歓迎を受…

カナダ人のパワフルな姑と子育て―小宮マコ・なとみみわ『姑は外国人』

今日の更新は、小宮マコ・なとみみわ『姑は外国人』です。 あらすじ・概要 カナダ人と恋に落ち、結婚した著者。カナダに引っ越した先で出会ったのは、パワフルな姑だった。図々しくて辛辣で、でもしっかりしていて憎めない。ときに協力し、ときに振り回され…

カルトよりも著者にカルチャーショック―高田カヤ『カルト村で生まれました』

今日の更新は、高田カヤ『カルト村で生まれました』です。 あらすじ・概要 幼少期から思春期を「カルト村」で過ごした著者。そこは農業をベースとした共同体だった。子どもなのに強制労働、振るわれる体罰、理不尽なルール。その中でも子どもたちは案外たく…

人の上に立つ自覚がある王族ばかりの少女小説―長月遥『花冠の王国の花嫌い姫』

あらすじ・概要 花粉症なのに花あふれる国エスカ・トロネアに生まれてしまった姫君のフローレンス。彼女は花のほとんどないラハ・ラドマへの輿入れを狙う。ラハ・ラドマの王子の求婚を受けてかの国に向かうが、王子をはじめ周囲には「なぜ大国の姫がうちのよ…

終末になれば山伏修行をするサラリーマン夫―はじめ『ウチのダンナはサラリーマン山伏』

今日の更新は、はじめ『ウチのダンナはサラリーマン山伏』です。 あらすじ・概要 結婚相手は、週末に修行に行くサラリーマン山伏だった。新婚旅行は山、結婚式は仏式、交換する念珠にこだわる彼。山伏の独特の文化に振り回されつつも、著者は夫を通して修行…