ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

美術

『ミュージアムを知ろう 中高生からの美術館・博物館入門』横山佐紀 なるにはBOOKS別巻 感想

あらすじ・概要 人々に美術や文化、歴史を学ぶきっかけをくれるミュージアム。学芸員や芸術家たちは、展示の可能性を模索してきた。一方で、美術館や博物館には、負の歴史もあった。ミュージアムのいままでとこれから、そして展望を書く。 ミュージアムの過…

【ジョジョを怪奇映画へ換骨奪胎】『岸辺露伴ルーヴルへ行く』

あらすじ・概要 漫画家、岸辺露伴は漫画の取材でオークションに行き、そこで真っ黒な絵を買い求める。露伴は、初恋の人、七瀬に「この世で最も黒い絵」について説明されたことを思い出す。フランス、ルーヴルに向かった露伴は、キュレーターの助けを借りてそ…

美学の視点から見る視覚障害の人の世界のとらえ方―伊藤亜紗『目の見えない人は世界をどう見ているのか』

あらすじ・概要 生物学の道を諦め、美学を志した著者は、障害を持つ人、特に視覚障害を持つ人の世界の認識に興味を抱く。「見える」ことが前提の社会で、「見えない」人たちはどのようにして周りの状況をとらえているのか。 「違いを面白がる」という可能性 …

社会に氾濫する居場所のない人を排除するオブジェ―五十嵐太郎『誰のための排除アート? 不寛容と自己責任論』

あらすじ・概要 ベンチに寝そべられなくする、開いている土地にホームレスが段ボールハウスを作れなくする、若者がたまらないようオブジェを置くなど、「邪魔者」を排除する排除アート。それらはどのように設置され、社会にどのような影響を与えているのか。…

統合失調症になった猫画家が妻の願いとともに苦しみの中を歩む―『ルイス・ウェイン 生涯愛した妻とネコ』

あらすじ・概要 画家として、亡くなった父に代わり妹たちを養うルイス・ウェイン。妹たちの家庭教師、エミリーと恋に落ちた彼は、身分違いの結婚をしてしばらく幸せに暮らす。しかしエミリーが末期の乳がんだとわかる。妻を看取ったあと、ルイスは猫を描く画…

社会のヒーローなら何でも許されるわけではないです―『ゴヤの名画と優しい泥棒』

あらすじ・概要 イギリスの老人、ケンプトン・バントンは老人や寡婦もBBCの放送料を払わなければならないことに憤りを感じ、息子とふたりで社会活動をしていた。政治活動のためにロンドンに向かったケンプトンは、そこでナショナル・ギャラリーのゴヤの名画…

美術館の監視係が猫の姿になって仕事を語る―宇佐江みつこ『ミュージアムの女』

あらすじ・概要 岐阜県美術館で監視係をしている著者。展示室の片隅に座り、客が作品を触らないように注意したり、作品の害になるかもしれない虫を捕獲したりしている。美術館を訪れるさまざまな客を見つめながら、美術館の意義や展示係のやりがいについて語…

同世代の女子がワイワイシュラバする70年代アシスタント事情―笹生那実『薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記』

あらすじ・概要 中学生で漫画を投稿していた著者は、高校生になってプロの漫画家のアシスタントとして呼ばれることとなる。そこは締め切りぎりぎりの中漫画家とアシスタントが原稿を書き続ける「シュラバ」だった。有名漫画家との思い出とともに、つらくも美…

絵がうまい人の伝記を絵がうまい人が描いてる―ちさかあや『コミック版世界の伝記 葛飾北斎』

あらすじ・概要 江戸末期に現れた伝説の絵師、葛飾北斎(鉄蔵)。彼は子どものころから絵が大好きで、奉公先で版木を彫る仕事を紹介される。しかしそれも長続きせず、浮世絵を描いていた勝川春章(かつかわ・しゅんしょう)に弟子入りした。しかし型にはまら…

コミュニケーションがド下手な親に育てられた娘の悲劇―みお『極彩色の食卓 カルテットキッチン』

今日の更新は、みお『極彩色の食卓 カルテットキッチン』です。 あらすじ・概要 発表会をきっかけに、ピアノが弾けなくなってしまった桜。そんな中、幼馴染の両親が経営しているカフェに燕という男がバイトの面接に来る。彼がカフェで料理を作るうちに、幼馴…

孤独な予備校生が恋と友情を知る―冬川智子『マスタード・チョコレート』

今日の更新は、冬川智子『マスタード・チョコレート』です。 あらすじ・概要 クラスになじめず、いつもひとりだったつぐみ。彼女は美術大学を目指す予備校に入学したことをきっかけに、少しずつ変わり始める。予備校の先生、同性の友達、そして、気になる男…

女性画家たちの作品を解説とともに掲載―アメリア・アレナス『絵筆をとったレディ 女性画家の500年』

今日の更新は、『絵筆をとったレディ 女性画家の500年』です。 あらすじ・書籍概要 男性に比べて語られることが少なかった女性画家の作品。この本では年代別に作品を並べ、解説とともに紹介していく。

ヒモ青年と老女画家の執着関係とおいしいごはん―みお『極彩色の食卓』

今日の更新は、みお『極彩色の食卓』です。 小説家になろう版も読んでいましたが紙の本も買っちゃった。 あらすじ・書籍概要 美大を休学して女性の家を転々としていた青年、燕(つばめ)は、半分引退したような女流画家律子に拾われる。律子は掃除もできなけ…

「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」を見てきたレポ

久しぶりに美術館に行ってきました。 「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」(以下「超絶技巧展」)の感想です。 www.aham.jp 概要 明治時代は工芸の超絶技巧が花開いた時代だった。七宝、漆、自在など、明治工芸と現代アートとを比較し、「超絶技巧…

半休取って平日の午後に行け~大阪人による「京のかたな」混雑回避情報~

京都国立博物館(以下、キョーハク)の「京のかたな」の展覧会を見てきましたよ。 工夫して混雑を回避することができたので、今回はそのお話をします。

ゆるく見えてガチな内容なコミックエッセイ―真船きょうこ『仏像に恋して』感想

今日の更新は真船きょうこ『仏像に恋して』です。 おすすめコミックエッセイ本にあったので手に取ってみた作品です。 あらすじ 学生時代、仏像に一目ぼれして、仏像マニアになった著者。仏像のために日本各地を旅行し、ついには海外まで足を延ばす。仏像の面…

本を愛する古書店主が張り出した張り紙をたどる さかもとけんいち『ほんじつ休ませて戴きます 人生最晩年、あふれ出た愛の言葉集』 

知り合いのおすすめで手に取った本です。大阪の話ですしね。 書籍概要 大阪の古本屋「青空書房」。そこに貼られた「ほんじつ休ませていただきます」という張り紙には絵と一言が書かれている。その張り紙を紹介しながら、店主が半生を語っていく。画集と語り…

16世紀ネーデルラント絵画とその歴史的背景 『ブリューゲル「バベルの塔」展』行ってきました【感想】

バベルの塔展に行ってきました。 ベルギー奇想の系譜展に続いて、ネーデルラントづいている。 babel2017.jp 展覧会概要 ブリューゲルの最高傑作「バベルの塔」を中心に、ヒエロニムス・ボスの油彩、同時代の版画、彫刻などを集める。16世紀ネーデルラント…

わけのわからなさが楽しくてしょうがない 「ベルギー奇想の系譜展 ボスからマルグリット、ヤン・ファーブルまで」行ってきたレポ

fantastic-art-belgium2017.jp 最近生活にハリがない気がして、「こういう時は美術館に行けばいいのでは」ということで行ってきました。 展覧会概要 ベルギーには「幻想」をテーマにした絵画が多く作られてきた。さまざまな悪魔を描いたヒエロニムス・ボスか…

天才の生涯から発達障害を読み解く 岡南『天才と発達障害 映像思考のガウディと相貌失認のルイス・キャロル』感想

『発達障害のいま』で紹介されていた参考資料です。 honkuimusi.hatenablog.com 書籍概要 発達障害の人々は、普通の人とはとは違う認知を持っている。建築家のガウディと作家ルイス・キャロルを例に挙げ、「認知の偏り」が生み出す才能について語っていく。…

国立国際美術館「クラーナハ展 500年後の誘惑」行ってきたレポ

クラーナハ展に行ってきました。 www.tbs.co.jp 展覧会概要 ヴィッテンベルクの宮廷画家として名をはせたクラーナハ。多作な彼は多数の作品を残しました。彼の背徳的でエロティックな女性描写はさまざまな時代の人を魅了しています。国内外からクラーナハの…

彫刻や焼き物、モノでたどる古代ギリシャの歴史 「特別展 古代ギリシャ」行ってきたレポ

神戸市立博物館の「古代ギリシャ展」に行ってきました。 撮影OKな場所がほとんどなかったので、これしか写真がなくて申し訳ない。 www.greece2016-17.jp 今初めて見たけど、公式サイトコラムがあったりぬりえがあったりして気合が入ってますね。 展覧会概要 …

細かい作業にくらくらする 『自分で作る小さな本』感想

『自分で作る小さな本』を読みました。 豆本作ってみたいなと思って借りてきた本です。 自分で作る小さな本 作者: 田中淑恵 出版社/メーカー: 文化出版局 発売日: 2002/04 メディア: 単行本 購入: 2人 クリック: 7回 この商品を含むブログ (6件) を見る 書籍…

日本の妖怪絵画が一堂に見れる! 『大妖怪展―土偶から妖怪ウォッチまで』行ってきたレポ

あべのハルカス美術館でやっている『大妖怪展』を見てきました。 いや~面白かったです。 yo-kai2016.com

デトロイトから印象派がやってくる 『デトロイト美術館展』行ってきたレポ

大阪市立美術館で開催されている、デトロイト美術館展を見に行ってきました。 夏休みだから子どもが多かったですね。割とおとなしく鑑賞していてえらかったですけれども。 www.detroit2016.com 各展示室の感想 第一章・印象派 この部屋はわりと典型的な印象…

デザイナーたちの「文字」の使い方 『文字のつくりかた』感想

『文字のつくりかた』を読みました。 デザイン関連について調べているのでその中の一冊。 文字のつくりかた(デザインの現場BOOK) 作者: デザインの現場編集部 出版社/メーカー: 美術出版社 発売日: 2014/04/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を…

眺めているだけで癒される ルーチカ『鉱物と理科室のぬり絵』感想

『鉱物と理科室のぬり絵』を買いました。ネットで話題になっていたのでついほしくなってしまったものです。 読書……?という感じですが、本なので読書感想にカテゴライズさせてください。 鉱物と理科室のぬり絵 (玄光社MOOK) 作者: ルーチカ(さとうかよこ& さ…

どこを見ても写真映えする展覧会 『ポール・スミス展 HELLO MY NAME IS PAWL SMITH』行ってきたレポ

『ポール・スミス展』に行ってきましたよ! 正直この方のことはよく知らなかったのですけれど、フライヤーのデザインがかっこよかったのと、写真OKだったのでブログのネタになりそうだな!という動機で行きました。(不純) paulsmith2016.jp ポール・スミス…

ニューヨークの紙ものデザインが満載 仁平綾『ヴィンテージからかわいいパッケージまで 紙もの図鑑 A to Z』感想

『ヴィンテージからかわいいパッケージまで 紙もの図鑑 A to Z』を読みました。 表紙がとてもシンプルなので気になった本です。あと同人のデザインの参考になるかなーと。 ヴィンテージからかわいいパッケージまで 紙もの図鑑 A to Z 作者: 仁平綾 出版社/メ…

ひたすら刀剣を鑑賞する映画 『映画 日本刀 ~刀剣の世界~』感想

『映画 日本刀』を見てきました。 迷ったんですがこういう映画はすぐに上映が終わってしまうので、思い立ったが吉日ということで見てきました。 『映画 日本刀 ~刀剣の世界~』予告編 映画概要 三日月宗近、童子切安綱、へし切長谷部など、国宝級の刀剣を大…