ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

KindleUnlimitedで読める3巻以下のライトノベルおすすめ5選(2022年8月版)

今日はKindleUnlimitedで読める三巻以下のライトノベルのおすすめをまとめてみました。2、3巻というのは打ち切りであることも多いので選びにくいんですが、「打ち切りであっても切りのいいところで終わっているかな」というものをセレクトしました。

また、KindleUnlimitedのライトノベルは入れ替わりが激しいので、ダウンロードする前に必ずKindleUnlimitedにまだ残っているか確認してくださいね!

 

 

 

恋愛初心者の最強の男と女が国家の命運のためにお見合い『最強同士がお見合いした結果』

対立するふたつの国は、新たな脅威のために同盟関係を結び、その印として「最強」の人間同士をお見合いさせることになる……。が、その「最強」たちはとんでもない恋愛初心者だった。それぞれの国の「最強」アグニスとレファは、相手を篭絡し自分の国を有利にするため、下手な恋愛バトルを繰り広げる。

恋愛ものってどちらかがどちらかを助ける、みたいな話になりがちで、力関係が一方に偏るパターンも多いんですが、この話は「能力が対等であることに意味がある」ので面白かったです。

同じくらいの強さで、同じくらいの恋愛初心者だからこそこんなにめちゃくちゃで愉快な話になります。

相手を「(恋愛的な意味で)いいな」と思う気持ちと、「最強なので相手に負けたくない気持ち」がないまぜになってトンチキな展開になっているところに笑ってしまいます。

アグニスもレファも根はすごくいいやつなのがまた安心感がありました。

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途切れ途切れの時空をさまよう少女とそれを助ける利発な少年『タイム・リープ あしたはきのう』

高校生の翔花は、ある日目覚めると月曜日のはずのその日は火曜日だった。その後も次々に時系列が飛び、翔花は混乱する。翔花は記憶のない月曜日の日記に書いてあった内容に従い、クラスメイトの若松和彦に相談してみる。初めは疑っていた若松だったが、翔花の様子を見て彼女に協力する。

パズルのようなプロットが徐々にはまっていき、話が進むにつれて全体像がわかってきます。そして最後に迎える大団円はとても美しかったです。

ちょっとひねくれているものの、頭がよく義理堅いイケメンが女の子を助けてくれる話なので、女性にもウケそう。

いわゆるスカした野郎で失礼な発言も多いんですが、必ず約束は守ってくれるし、頭の回転が速くて状況の把握も早い。

そして若松が普通の時間を生きているのに対して、翔花が途切れ途切れの時間をさまよっているので、時空を超えたラブロマンスとしても面白かったです。

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猫による社会が成り立つスペースコロニーで地球を目指す一匹の黒猫の話『猫の地球儀』

「天使」が滅び、知性ある猫たちが暮らしているスペースコロニー、トルク。スパイラルダイバーの焔(ほむら)は、最強の名を手にした後、名前も知らない黒猫に敗北する。黒猫は「スカイウォーカー」と呼ばれる、猫の魂が行きつく場所、「地球儀」を目指す存在だった。

登場人物は全員猫で、電波を飛ばすひげを持ち、その電波でロボットを操って文明を成り立たせています。表紙の美少女ももちろん猫。

主食はゴキブリとネズミ、ロボットの肩に乘って移動、独特の宗教観……などなど、「もしも猫が文明を持ったとしたら」という社会が丁寧に描かれています。

また、この作品の魅力は、スパイラルダイバーの焔とスカイウォーカーの幽(かすか)の微妙で、だからこそ強い友情の物語であるところです。

ふたりは天才であり、他人(猫)とは価値観が違うからこそ孤立しています。そんな中お互いと出会って、反目し否定し合いながら、不思議な絆を結んでいきます。ふたりのたどった劇的な末路は必見です。

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鎧をかぶった魔女で令嬢な乙女が王子のために大冒険『重装令嬢モアネット』

当時婚約者だった王子に「醜い」と言われたことで日がな一日鎧をかぶって生活するようになったモアネット。森の中で魔女として暮らしていた彼女の元に、王子と従者のパーシヴァルがやってくる。王子が不運に見舞われ続けるのはモアネットのせいであり、呪いを解いてほしいと言われるのだが、モアネットに心当たりはなく……。

作中のほとんどでモアネットは鎧をかぶっており、挿絵でもがっつり鎧です。その描写にはライトノベルというコンテンツにおける外見至上主義的展開へのアンチテーゼを感じます。

そんな外見に自信のないモアネットが、根はお人好しゆえに王子とパーシヴァルを助け、外見ではなく精神性や能力で自分自身の居場所を得ていくのは前向きで勇気づけられました。

モアネットの恋愛相手であるパーシヴァルも、最初は鎧に戸惑っていたのがどんどん「鎧でもかまわない」という態度になっていくのがほほえましかったです。

特殊設定を見事に描きこなした作品でした。面白かった!

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不良少女の漫画を手伝うはめになってしまったけど彼女の夢を応援したくなった『スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居』

多忙な母親を持ち、双子の弟妹の世話をしながら生活している彗花は、クラスメイトの不良少女、蓮が漫画を描いていることを知ってしまう。さらに彼女の原稿用紙を双子が汚してしまい、彗花は償いとして蓮の新人賞応募を手伝うことに。原稿をしているうちに、蓮と彗花は心を通わせていく。

見どころは彗花と蓮の関係性です。安易に「それっぽくエモい」描写に頼らず、丁寧に違った境遇や価値観を持つふたりが仲良くなっていく描写を積み重ねていきます。

漫画を描く、食事をするなど、内容としてはかなり地味なシーンが多いのに、ストーリーや描かれる心理がきちんとしているから気になりません。

また、なれ合いとしての、仲良くなるための創作活動ではなく、「夢を叶えたい」「自分を表現したい」という強い思いを持った活動である、というところがかっこよかったですね。

だからこそこの小説は甘っちょろい描写をせず、蓮の漫画は正直なところ下手なものからスタートします。最初から面白いものは描けないし、努力を少ししたくらいでそれが覆るわけではない。シビアですが、そこが良かったと思います。

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以上です。興味がある方は読んでみてください。

裏家業一家の将来を巡ってばらばらになりつつある兄弟―喜多みどり『デ・コスタ家の優雅な獣3』

デ・コスタ家の優雅な獣3 (角川ビーンズ文庫)

 

あらすじ・概要

賭場という縄張りを得、デ・コスタ家での地位を持ちつつあるロザベラ。そんな中、市長選の候補者の息子が誘拐され、その容疑者としてダリオの名前が上がる。濡れ衣を着せられたダリオは姿を消し、ロザベラは彼を探すことにする。市長選をめぐる陰謀とは……。

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ナメられたら〇すの社会で生き延びようとする女性―喜多みどり『デ・コスタ家の優雅な獣2』

デ・コスタ家の優雅な獣2 (角川ビーンズ文庫)

 

あらすじ・概要

ファミリーの一員として認められたロザベラだったが、仕事でいい結果を残すことができず、襲撃事件をきっかけにセーフハウスに軟禁されることになる。自由を求めるロザベラは、エミリオに有用だと思ってもらうため、自分を襲撃した海外の敵対組織を調べる。

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犯罪組織に引き取られた少女は取引を覚える―喜多みどり『デ・コスタ家の優雅な獣』

デ・コスタ家の優雅な獣 (角川ビーンズ文庫)

 

あらすじ・概要

身寄りがなく内気な少女ロザベラは、名家デ・コスタ家に引き取られる。しかしそこは異能を持つ一族だった。ロザベラは一族の血を繋ぐために従兄弟と結婚して子を残すことを要求される。このままだと幽閉されてしまうと恐れたロザベラは、「一族の一員」として認められるため裏切り者を探し出すことになる。

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ラノベ・ライト文芸を探す上で重視していること4つ、重視していないこと3つ

デコレ(Decole) 置物 本セット CAFÉ 3冊: 2.6×2×H2.5cm 1冊: 2×0.8×H2.5cm コンコン堂 コンコンブル concombre ZCB-61014

ライトノベル関連の記事で何が読みたい? とアンケートを取ったところ、「ラノベの選び方」が一番だったので記事を立ててみました。

自分なりの選び方ですが、参考になれば幸いです。

 

 

 

重視していること

図書館の検索サービスで検索する

Amazonは「スポンサー」とか称して探してもいない本をサジェストしてくるので、真面目に本を探すときは図書館の検索サービスで探しています。

www.oml.city.osaka.lg.jp

大阪市民のため、使うのは基本大阪市立図書館の検索サービス多機能OMLIS。公立のものだけあって一切広告が入らないのが助かります。

特に大阪市立中央図書館はかなりの量のヤングアダルト本、ライトノベルを収蔵しており、なろう小説も有名どころは一通りそろえているのでラノベ好きにはおすすめです。大阪市に住んでいる人はぜひ貸出カードを作ってほしいです。市立図書館であれば近くの図書館に取り寄せも可能です。

www.oml.city.osaka.lg.jp

 

レーベル名で探す

漠然と探すときりがないので、好きな本を良く出すレーベル中心に探しています。特に電撃文庫とその姉妹レーベル、メディアワークス文庫の刊行物はよくチェックしています。

検索するより、書籍情報のページを見て面白そうなタイトルを見つける→あらすじを見てみる→面白そうなら読んでみる という手順を踏むことが多いですね。

mwbunko.com

 

Amazonレビューは参考にするがちょっと工夫する

Amazonレビューは参考にします。が、ほどほどの距離感で見るようにしています。

やたらとレビューが高すぎる場合、作者の身内がレビューしてたり、一部の信者が盛り上がっていたりするときがあります。

だいたい★3.5~★4くらいのほうが当たりが多い気がします。あと、適度に低評価がついてるほうが安心します。すべての人にウケる作品はない、高評価しかない作品は身内にしか読まれていない可能性があります。

あと私は楽天koboも使うんですが、楽天のレビューはAmazonレビューの内容と全然違うこともあるので、Amazonレビューで「おかしいな」と感じたら楽天のレビューを見ます。

 

表紙が好みのものを買う

小説は見た目より中身が大事、というのは確かなんですが、結局表紙が好みの作品から選んだ方が当たりが多いんですよね。

結局「小説の表紙」というのはweb小説のあらすじやキャプションに近いところがあって、「この作品を好きになってくれる人を取り込み、好きになってくれない人を振り落とす」ところがあると思います。だから表紙が好みではないときは素直に振り落とされておいたほうがいいと思っています。

たまに「表紙が好みではないけど中身は好き」というパターンもあるにはあるんですが、そういうシリーズや作家に限って新刊が出ないので、積極的には読まなくなりました。

 

趣味の合う人のおすすめを読んでみる

 

重視していないこと

作家買いは2~3回しかしない

作家買い、たまーにがっつりやることもありますが、同じ作家の本はせいぜい2、3冊しか読まないです。

基本的に飽きっぽいので、同じ作家をずっと読んでいられないんですよね……。

 

シリーズは惰性で読まない

上の項目でも言いましたが飽きっぽいので、シリーズは「読むのが面倒くさくなった」時点で読むのをやめます。

だいたい「話のオチを『どうでもいい』と感じる」ようになったら読むのを止めます。

惰性で読むより他の本読んだ方が有益ですからね。ただ、途中で止めても楽しませてもらった感謝だけはするようにしています。

 

本屋が出版社が「売りたがっている」からと言って安易に乗らない

別に本屋や出版社が嫌いなわけではないんですけど、正直「売れる本」と「面白い本」は全く違うんですよね。

特に私はどうせなら「なかなか売れないような本」を応援したいというのがあるので、ニッチな内容の本を探して読んでいます。そっちの方が楽しいし。

 

以上です。参考になれば幸いです。

他のラノベブロガーの意見も知りたいので、この記事のテーマは真似してもらってかまいません。

 

ビーズログ文庫・ビーズログ文庫アリスのおすすめ少女小説7選

ビーズログ文庫・ビーズログ文庫アリスはあまり読んだことのないレーベルだったのですが、KindleUnlimitedにたくさん入っているのもあり、お気に入りの本が増えてきました。

今回はそのまとめを書きました。

 

母の形見の踊る靴を取り上げられて、傍にいるため靴職人になる『シンデレラ伯爵家の靴箱館』

かつて「シンデレラ」とあだ名される女性が王妃となり、靴の生産が盛んになった国。アデルはその子孫であるディセント家に勝手に踊る母の靴を鑑定してもらおうと持ち込む。しかし形見である母の靴を取り上げられてしまう。アデルは母の靴と一緒にいるために、ディセント家のアランが運営する靴工房で働くことになる。

靴と童話を巡るファンタジーであり、お仕事小説であり、恋愛ものでもありました。

最悪の出会いから好感度を上げていくタイプの話、「最悪の出会い」が最悪過ぎて読み進めても好感度が上がらないことが多かったんですが、これは描写がちゃんとしているのでアランのことを好きになれました。

そしてアランの靴工房で働くアデルの職人としての成長も、きっちり描かれているところが面白かったです。お仕事ものとしてすごく真っ当なんですよね。

家父長制の社会を逆手に取り、そこで生きる女性の苦悩や困難を描いたところも素晴らしかったです。

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ひとり暮らしをしたら、しゃべる家電が彼氏面をしてくる小説『家電彼氏』

大学進学をきっかけにひとり暮らしを始めた塔子。しかし家に置いてある、体重計や電子レンジ、掃除機が勝手にしゃべり始める。彼らは塔子の彼氏面をし出し、何かと塔子の私生活に口を出すようになる。塔子は個性豊かな家電たちに翻弄される毎日を送る。

イラストには美麗な擬人化キャラが添えられているんですが、あくまで本文中では家電は家電であり、人間の姿をしていません。つまり塔子は文字通り家電に彼氏面をされています。

ある意味人外×人間ものだと言えるのかもしれませんが、相手が家電なのでロマンチックさのかけらもありません。塔子に彼氏っぽいものができそうになると「家電に例えるとどんな感じ?」と聞くし、機能をディスると機嫌を損ねます。

大学生のひとり暮らしの生活を舞台にした、トンチキギャグ小説です。

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新しく引っ越してきたお隣さんは魔王でした『となりの魔王 到来編』

田舎の田園地帯に暮らす夏織(かおり)の家の隣に、魔王が引っ越してきた。ファンタジー世界から抜け出たような彼に夏織は戸惑うが、地域の住民はあっさり受け入れているようで……。夏織は、ご近所さんとして魔王と付き合い、その一般人とは違う思考回路に振り回される。

のんびり読めるほのぼの日常ものでありながら、文章のクオリティがすごかったです。ラノベらしいポップな語り口で、読みやすく、ところどころのユーモアが利いている。すごく文章の上手い作家だと思います。

あらすじ自体は本当に何気ないもので、洗濯機の使い方を教えたり、流しそうめんをやったり、花火をやったり、とりたてて大きな伏線もなければどんでん返しもありません。そういう何気ない話をここまで面白く愉快に書けるのがすごいです。

やたらと古風で中二病なしゃべり方なのに案外お人好しで、子どもっぽいところもある魔王と、普通の女子高生だがツッコミ力が高くモノローグの面白さが群を抜いている夏織の、恋愛要素のない交流は本当によかったです。

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異性装をポジティブに捉える「倒錯しない」ラブストーリー『姫の婿とり 始まりはさかしまに!』

父方の家が祖父を裏切り、敵対する家の男児は殺されると女の振りをして生活してきた千芳(ちか)姫。しかし祖父から婿取りの要請を受け、男が婿を取るわけにはいかないと千芳は逃げ出す。逃げた先で出会ったのは、婿候補のひとりであり男装して世継ぎとなった漣吾(れんご)だった。

まず面白いのは、千芳も漣吾も「異性の格好をしていることをネガティブに捉えていないこと」です。

状況によって女らしさ、男らしさを行き来するふたりは、肉体的には男女CPなのにシチュエーションによってはBLのようにも百合のようにも見えてしまいます。

でも、「倒錯している」ということにならないのがすごい。あくまで自然に、ジェンダーを行き来しています。

もちろんエンターテインメントとしても面白くて、主人公ふたりはめちゃくちゃいい子でかわいいし、戦国風世界観のちょっと血なまぐさい感じも好きです。

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転生ものだと思ったらどんどん話が転がっていくエンタメだった『不思議の国のハートの女王 世界の強制力で毒吐きまくり!?おかげで破滅ルートに入りそう』

ハートの国の女王、エリノアは自分が転生者であることを思い出した。ここはどうやら現代日本でプレイしていた乙女ゲームの世界だった。くしくも「口に出す言葉が高飛車な罵倒になってしまう呪い」にかかってしまったエリノアは、思っても見ない発言で周囲を振り回してしまう。しかし、攻略対象の帽子屋は、エリノアの味方に付いてくれて……。

転生コメディを読んでいたと思ったら、壮大な多世界のリンクについて知ってしまい、そこからギャンブル対決になった。何だこれ。

何気なく読み流していた部分が実は伏線だったり、フレーバー程度かなと思っていた「不思議の国のアリス」要素がさまざまな方向から回収されていたり、よくできたライトノベルだなあ……と感心しきり。

どんどん伏線や描写を積み上げて、終盤で盛り上げて終わる、ということが違和感なくできています。エンターテインメントだなあ。

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人の上に立つ自覚がある王族ばかりの少女小説『花冠の王国の花嫌い姫』

花粉症なのに花あふれる国エスカ・トロネアに生まれてしまった姫君のフローレンス。彼女は花のほとんどないラハ・ラドマへの輿入れを狙う。ラハ・ラドマの王子の求婚を受けてかの国に向かうが、王子をはじめ周囲には「なぜ大国の姫がうちのような小国に?」と警戒されてしまい……。

まず主要登場人物であるフローレンスにもイスカにも、人の上に立つ人間としての自覚があるのが素晴らしいです。

恋愛ものだけれど、愛があれば周囲のことなんて関係ないよね! という態度ではなく、周りの従者や国の民衆も含めて幸せにしたいという主人公ふたりの態度が最高です。ここの国に住みたい。

イスカはいつも臣民を思って優しい行動をするし、フローレンスは自国の利益のために策謀を張り巡らせることを否定しない。形は違えど、ふたりは「王族」としての態度を知っています。

そういうふたりがお互いをリスペクトし、惹かれあっていくのがいいんですよね。わかりやすい胸キュンシーンや、いちゃつくシーンが少ないからこそ、精神性に惹かれているところが強調されています。そこに痺れました。

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十三歳の皇后、宮廷の謎を解く『十三歳の誕生日、皇后になりました』

皇帝に後宮入りを願い出ようとしたところ、皇位簒奪が起こり、流れで新皇帝暁月の皇后になってしまった莉杏(りあん)。十三歳の彼女は皇后の務めを果たそうと、宮廷の中の謎に挑む。

ちょっとした思惑のずれが事件を起こしたり、いやがらせかと思いきや実は……だったり。意外性がありつつ、きちんとストーリーに応じた「らしさ」だったので楽しめました。

莉杏みたいな天真爛漫な少女は個人的にはうまく共感できないのだけれど、周囲が彼女を甘やかしすぎないところがよかったです。優しくするし、尊重もするけれど甘くはない。莉杏もそれに応えて工夫したり努力したりする。その関係が心地よかったです。

皇帝としていつも気が張ってばかりいるだろう暁月が、莉杏に癒されるのもなるほどなと思います。

兄妹のような、親子のような、それでも他人であるおにロリコンビはかわいらしかったです。

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以上です。興味があれば読んでみてください。

漫画家を目指す不良少女は同人イベントへの参加を目指す―世津路章『スイレン・グラフティ2 もすこしつづく、ナイショの同居』

スイレン・グラフティ(2) もすこしつづく、ナイショの同居 スイレングラフティ (電撃文庫)

 

あらすじ・概要

彗花の母親が海外赴任し、家を空けている間に蓮とこっそり同居することになった彗花。彼女らはコミフェアという同人イベントに一般参加し、自分達も小さな同人イベントに参加することを決意する。しかし、初めての同人イベントは不安がいっぱいで……。

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不良少女の漫画を手伝うはめになってしまったけど彼女の夢を応援したくなった―世津路章『スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居』

スイレン・グラフティ わたしとあの娘のナイショの同居 スイレングラフティ (電撃文庫)

 

あらすじ・概要

多忙な母親を持ち、双子の弟妹の世話をしながら生活している彗花は、クラスメイトの不良少女、蓮が漫画を描いていることを知ってしまう。さらに彼女の原稿用紙を双子が汚してしまい、彗花は償いとして蓮の新人賞応募を手伝うことに。原稿をしているうちに、蓮と彗花は心を通わせていく。

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震災がテーマなのに震災である意味がない―日比生典成『海をみあげて』

海をみあげて (電撃文庫)

 

あらすじ・概要

受験生の真琴は、くじらが空を飛ぶ町で暮らしている。町にはかつて大きな地震があり、その後から空を飛ぶくじらが現れるようになった。くじらが出現すると町にはモーツァルトが流れるのだが、それは誰が流しているのか……。

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冤罪を着せられた令嬢の処刑を阻止せよ―常盤くじら『エリスの聖杯3』

エリスの聖杯3 (GAノベル)

 

あらすじ・概要

10年前の処刑の真実を突き止めたコニーとスカーレット、しかし素直に復讐できないような事情があった。そんな中、コニーは、≪暁の鶏≫の策謀によって冤罪を着せられ、処刑されそうになる。コニーの仲間たち、コニーに助けてもらった人々は、コニーを助けるため力を合わせる。

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