『文藝怪談実話』を読みました。ホラーが好きなので衝動買いした一冊。
書籍概要
文豪や芸術家たちが出会った怪談話を集めた一冊。「実話」縛りで創作はなし。遠藤周作、小泉八雲、芥川龍之介など。
怖くはないけど実話っぽさがよい
あくまで「実話」なのでガチで怖い怪談はないです。だいたい気の迷いで済む程度。だから本気で怖い怪談を期待している人は肩透かし食らうかもしれません。
しかし、この本の面白さは、「それを文豪たちが文章にしている」ということだと思います。文豪のエッセイという形式で、怪談が読めるなんてすごく贅沢です。このコンセプトに物語を感じますね。
個人的に好きな遠藤周作が入っていてうれしかったです。この人の文章はやっぱり好きです。あんな文章書きながら幽霊が出る部屋に泊まってみるような肝試しするとは……。それから、淡谷のり子の『裏切られた画家』が物悲しくて好きです。恋愛によってダメになった男の怪談というのがなんともやりきれなさを感じました。
昔の文章なので、読みにくいのが難点です。特に明治時代の文章はぎっちり文字が詰まっていて大変でした。じっくり取り組むはめになる一冊でした。
まとめ
本気で怖いというものではないですが、怪談の中の生活感や文豪の幽霊に対する価値観が見れて面白いです。
文学好きなら読むのに抵抗はないと思います。