ブックワームのひとりごと

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呪いにとらわれた人々の話 上橋菜穂子『狐笛のかなた』感想

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『狐笛のかなた』を読みました。

久しぶりの上橋菜穂子です。獣の奏者以来かな?

狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた (新潮文庫)

 

 あらすじ

産婆に育てられた少女、小夜は、犬に追われている狐を助けます。それは、となりの国で使い魔として飼われている霊狐でした。時がたち、小夜が母親の正体を知ったとき、運命が回り始めます。同じころ、小夜が出会った男の子が危険にさらされ……。

「呪い」がはびこる国で

かなりシリアスな話なので、読むのに時間がかかりました。そして登場人物が多いのも大変です(しかもみんな話にかかわってくるから読み飛ばすこともできないという)

物語の根幹になっているのが「呪い」で、作中では呪いでかなりの登場人物が死亡しています。しかし呪っているほうが幸せにくらしているかというとまったくそんなことはなくて、とても闇が深いです。

そんな中小夜と霊狐の野火が仲良くしてると少し心が和みましたね。小夜と野火が選び取った結末もよかったです。少し寂しいですが、あの二人にはあれが幸せだったんでしょうね……。エピローグの情景がとても美しいです。

要素が多いので、正直ゆっくり掘り下げてほしかった部分もありました。特になんで野火と小夜が惚れあったのかがいまいちわからないのがちょっと不満です。一冊では短かったかもしれませんね。

まとめ

狐×人間というものにときめくひとにはおすすめです。

じっくり読めるファンタジーが読みたいときにはいいと思います。

月の森に、カミよ眠れ (偕成社文庫)

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物語ること、生きること (講談社文庫)

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