ライトノベルって長いですよね。
飽きっぽい私は好んで一冊完結のライトノベルを読んでいるのですが、今回はそこから面白かったものを紹介いたします。
『ビスケット・フランケンシュタイン』日日日(講談社BOX)

ビスケット・フランケンシュタイン〈完全版〉 (講談社BOX)
- 作者: 日日日,Toi8
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/09/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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奇病がはびこる地球で、病にかかった患者の死体をつぎはぎにして生まれたビスケ。不死の怪物が世界をさまよっていく話です。
タイトルの通り、名作ホラー『フランケンシュタイン』のオマージュです。元ネタを踏まえたオチがとても好きです。読み込んで自分なりに解釈しないとあれは書けないと思います。
結構グロいので苦手な人は注意。(そういうのが好きな人には逆におすすめです)
『ヴァンパイア・サマータイム』石川博品(ファミ通文庫)
人間と吸血鬼が共生する社会です。夏になると昼夜逆転してしまう主人公と、吸血鬼の少女が恋に落ちる現代ファンタジー。
見ていて恥ずかしくなるほどの初々しい恋愛模様が好きです。大きな盛り上がりはないですが、それだけにボーイミーツガールの美しさにもだえることができますね!
基本的に一対一の恋愛でハーレム要素がないので女性にもおすすめです。
『ロミオの災難』来楽零(電撃文庫)
『ロミオとジュリエット』を演じることになった演劇部。しかし使った台本は呪われており、ロミオ役以外の役者たちは全員ロミオに恋愛の矢印を向け始めます。
ハーレムかと思いきやそうではない話です(野郎もいるし)。
登場人物が基本的にみんないいやつなので安心して読めます。先が気になってはらはらしつつも、最終的には笑顔になれる一冊です。
『キミとは致命的なズレがある』赤月カケヤ(ガガガ文庫)
記憶を失っている主人公。どうやら彼は過去、クラスメイトを殺害したことがあるらしく……混乱する記憶、崩壊していく精神を描くサイコホラー。
これは逆に一冊完結でしか書けないだろうなと思います。日常がどんどん崩壊していくのがとても怖いです。そして、あのタイトルを回収するオチはよかったです。読み終わった後表紙をまじまじと見つめました。そういうことか。
『ある日、爆弾が落ちてきて』古橋秀之(電撃文庫)
『時間』をテーマにした、ライトノベルでは珍しい、作品同士につながりのない短編集。
「すこしふしぎ」なSFなので、SF初心者にも読みやすい本です。どの作品もキャラクターがとてもかわいらしいのが魅力的です。
個人的に好きなのは『おおきくなあれ』と『トトカミじゃ』です。表題作は『世にも奇妙な物語』でドラマ化もされました。
『月の盾』岩田洋季(電撃文庫)
主人公と一緒に暮らすことになった少女は、特別な絵の才能を持っていました。しかし彼女の才能はあまりにも大きすぎ……。
才能とは何か、を考えさせてくれる本でした。特に作品の描写がとても好きです。「こういう絵見てみたいな」という気分になります。
混乱の原因となった作品は怖くて見れない気がしますが。
『ペイルライダー』江波光則(ガガガ文庫)
転校を繰り返し、クラスを崩壊させてきた主人公。しかし今度のクラスは、今までのクラスと違うようで……。
登場人物が全員クズという珍しい作品。しかしこういう胸糞悪いだけの話も嫌いじゃないです。
すごく嫌な気持ちになるので、精神的に余裕のあるときに読みましょう。しかし最終的にはさわやかですよ!
『AURA ~魔竜院光牙最期の戦い~』(ガガガ文庫)
訳アリの主人公が出会ったのは、空想の中に生きる少女。主人公のクラスではなぜか「イタい」クラスメイトばかりで……。
いわゆる中二病もの作品。しかしその痛々しさが妙にリアルで心に刺さりまくります。古傷が痛む人も多いと思います。
しかし夢見ることの楽しさも同時に見せてくれるのがこの作品です。最後がとても美しいです。
『クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門』石川博品(ファミ通文庫)

クズがみるみるそれなりになる「カマタリさん式」モテ入門 (ファミ通文庫)
- 作者: 石川博品,一真
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2011/11/30
- メディア: 文庫
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主人公の前に現れた未来人、カマタリさん。彼女は未来の世界を救うため、主人公にある女の子を落としてほしいと伝えます。
はっちゃけ感の強いループ系ラブコメディです。しかし生きるのがへたくそな主人公が少しずつ前向きになっていくのは純粋に応援したくなります。
そして何度もオチに使われる主人公の友人に笑いました。
『雨の日のアイリス』松山剛(電撃文庫)

- 作者: 松山剛,ヒラサト
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2011/05/10
- メディア: 文庫
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博士と暮らしていたロボットのアイリス。しかし博士が亡くなったことから、彼女の苦難が始まります。
美少女ロボットものかと思いきやそうではないというちょっと皮肉な展開です。しかし内容としてはとてもべったべたな感動ストーリーです。アイリスが愛しくなります。
泣ける作品を探している人はこれがおすすめです。
『旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで』萬屋直人(電撃文庫)
人が消えていく奇病が蔓延している未来。少年と少女は世界の果てを目指して、スーパーカブに乗って旅に出ます。
ロードムービーとして美しい物語です。滅亡というキーワードにときめく人はおすすめです。
どうしようもなく滅びるしかない世界で、それでも生きていこうとする人々がかっこよくも儚いです。
『さびしがりやのロリフェラトゥ』さがら総(ガガガ文庫)
旧校舎に住み着いた吸血鬼を中心にした、群像劇です。
感動物語なのかと思いきや突然ぶっとんだギャグ展開をして波が激しいです。笑っていいのか泣いていいのか……。
しかしこの作品で一貫して書かれていることは、ほかの立場の人の考えは見えないということです。コミュニケーションは完全ではない。そのことを笑いと悲しみを交えて描いているのが面白かったです。
『紫色のクオリア』うえお久光(電撃文庫)

- 作者: うえお久光,綱島志朗
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2009/07/10
- メディア: 文庫
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人がロボットに見える紫という少女を中心にした、哲学的なSFです。
難しい内容が多くて頭がパンクしそうになるんですが、そういうモチーフを使いつつ、最終的には二人の関係に持ち込んでいくのが面白かったです。そういう小さな世界が逆に青春っぽくてよかったです。
おまけページが充実しているので、その部分もちょっとうれしくなる一冊です。
まとめ
あらためてまとめてみると結構ありましたね……。
この中の作品のどれかを気に入ってくれると幸いです。