「海外の文学に触れてみたいけれど、ハードルが高い」
そんな人におすすめなのが子ども向けに翻訳・編集された海外文学です。子ども向けであるだけあって、読みやすくできています。
今回は、児童向け海外文学のおすすめポイントと、個人的に好きな本を紹介します。
なぜ児童向けで海外文学を読むのがおすすめなのか
読みやすい
子ども向けなので文章が簡単です。これは重要。
原文の癖が強いタイプの作品もかなり簡単になっているので、普通の翻訳で読めなかったものが読めることもあります。
そしてだいたいダイジェストになってるので挫折せずに済みます。
あまり色が入らない
よくある大人向けの解説本はかなり解説する人の色が入っていて、逆に最初に読むにはおすすめしにくいです。
その点子ども向けの方が一般的な解釈で読めることの方が多いです。子どものためにあれな解釈はできないので。
注釈が充実している
児童向けはほんとうに注釈が充実しているのが読みやすいです。
もっと親切だと、図まで使って説明してくれるものもあります。すごい。
挿し絵があってイメージしやすいのもいいです。
『モンテ・クリスト伯』 アレクサンドル・デュマ(岩波少年文庫)
- 作者: アレクサンドル・デュマ,竹村猛
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2000/06/16
- メディア: ペーパーバック
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「岩窟王」の別名で知られる、フランスの復讐小説。婚約者を寝取られて無実の罪を着せられた男が金の力でチートする話です。こうして書くとなろう小説みたいですね。
元々は大人向けの連載小説なので、子ども向けらしからぬ表現も結構あります。たぶん子どもの頃に呼んでいたらどきどきしていたと思いますね……。
『アーサー王物語』ジェイムズ・ノウルズ(偕成社文庫)
- 作者: ジェイムズノウルズ,佐竹美保,James Knowles,金原瑞人
- 出版社/メーカー: 偕成社
- 発売日: 2000/07
- メディア: 単行本
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イギリスの英雄、アーサー王の伝説を子ども向けにダイジェストにしたもの。
挿し絵が充実しているのがうれしいです。きれいで見ていて飽きないですね。
だいたいの話が血縁の良さに帰結するあたり、当時の文化を感じます。いろんなファンタジーの元ネタになっているので、ファンタジーものが好きな人は読むとにやりとできます。
『八月の暑さのなかで――ホラー短編集』金原瑞人編(岩波少年文庫)
英語圏のホラー小説を子ども向けに翻訳したアンソロジーです。ホラー好きな人におすすめです。
短編集なので少しずつ呼んでいけるのが楽しい。子ども向けなのでそんなにグロいのはないですが、そこが逆にホラーを楽しめて好きです。
同じ翻訳家が同じコンセプトで訳した『南から来た男 』もどうぞ。
『ホメーロスのオデュッセイア物語』バーバラ・レオニ・ピカード(岩波少年文庫)
トロイア戦争の帰り道にいろんな面倒ごとに巻き込まれる英雄オデュッセウスの話。
これもいろんな文学の元ネタになっているので、知っているとドヤ顔できるかもしれません。
神話時代のモンスターもたくさん出てくるので、モンスター好きにもおすすめ。
『きつねのライネケ』ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ(岩波少年文庫)
- 作者: ヨハン・ヴォルフガング・フォンゲーテ,小野かおる,Johann Wolfgang Von Goethe,上田真而子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/07/18
- メディア: 単行本
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ものすごく嫌な狐がなんだかんだで一人勝ちする話です。憎まれっ子世にはばかる。
ほとんどの人は怒るかもしれないけれど私は結構好きな話です。あと出てくる生き物たちがユーモラスで見ていて面白いです。
理不尽な話や胸くそ悪い話が好きな人にはおすすめできるかなと思います。
『カレワラ物語―フィンランドの神々』小泉保(岩波少年文庫)
フィンランド叙事詩「カレワラ」を物語形式に読みやすくしたものです。スケールが大きくて古代の人の発想の豊かさに思いを馳せたくなります。原文は詩なのでなかなか読みにくいんですが、これは物語形式なので子どもにも読めます。
これもファンタジーが好きな人には面白く読めると思います。
まとめ
岩波少年文庫の回し者みたいになってしまいましたが、いかがでしたか。
この記事を読んで、文学に挑戦してみようと思う人が増えれば幸いです。