ブックワームのひとりごと

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原作の雰囲気を踏襲したノベライズ 幾原邦彦・高橋慶『輪るピングドラム 上』感想

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 『輪るピングドラム 上』を読みました。

原作のアニメを見たのはずいぶん前なんですが、ファンの間で評価が高いノベライズと聞いて手に取ってみました。

輪るピングドラム 上

輪るピングドラム 上

 

 あらすじ

一軒家で身を寄せ合うように暮らしていた冠葉、晶馬、陽毬のきょうだい。陽毬はペンギン型の帽子を手に入れたことをきっかけに、不治の病から奇跡の復活を遂げます。しかしペンギン帽子は陽毬の体を乗っ取り、「ピングドラムを手に入れるのだ」と命令。かくして冠葉と晶馬はピングドラムという謎のものを探すことに……。

 

ライターの方の文章が原作に似合っている

この本の良さはライターの方の文章のうまさ。ポップで少女趣味で、けれどどこか不穏な原作の雰囲気が踏襲されています。この方の文章を他で見たことがないからわからないんですけど、原作に合わせて文体を変えているなら相当な努力です。

ひらがなが多めでやわらかく、ちょっとした比喩の使い方や心理描写もセンスがあって、読んでいて飽きません。調べてみると他にもノベライズの仕事をしているみたいで、他の原作を知らないのに読みたくなってしまいました。自前の文体が一致してるのか、原作に合わせているのか知りたいです。

原作でなされなかった心理描写を補完

もう一つの面白さは、原作で説明されなかった部分の心理描写を補完しているところです。

このノベライズを読んで陽毬が好きになりました。アニメで見ているときは正直何を考えているかわからなかったけど、小説を読んでやっと腑に落ちた感じがします。

あくまでメディアミックスなので完全に信じないほうがいいのかもしれませんが、ノベライズによってキャラクターを深く掘り下げていこうという意思が感じられるところはよかったです。原作を元に丁寧に書いてくれたのだなということがわかります。

まとめ

すごく良質なノベライズだったと思います。ただそのまま書き写すのではなく、小説でしかできない表現をしてくれたのが素晴らしいです。

原作を思い出すこともできたので楽しかったです。懐かしい気持ちになれました。

 

輪るピングドラム キャラクターソングアルバム

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