ブックワームのひとりごと

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図書館で起こる小さな謎 緑川聖司『晴れた日は図書館へいこう』感想

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図書館に住みたいくらい図書館が好きです。

『晴れた日は図書館へ行こう』を読みました。

(P[み]4-1)晴れた日は図書館へいこう (ポプラ文庫ピュアフル)
 

 あらすじ

図書館通いが趣味の小学生、しおり。図書館にはちょっとした謎があふれています。司書の美祢子さんとともに、小さな謎を解き明かしていく日常ミステリー。

 

この雰囲気大好き

本と日常の謎というテーマは特別珍しいものではないんですが、この作品の雰囲気がとても好きです。

シンプルで読みやすい文章と、大人たちが何気なく子どもを気にかけている感じ、本を大切にするしおりの心、そういうものが趣味に合いました。

作者は児童向けはこの本が初めてだったらしいのですが、ぜんぜんそうは見えません。文章も難しすぎず優しすぎず、一方的に説教臭くなってしまうこともありません。書きなれた人のように見えます。

作者が児童向けにチャレンジしてみようと思ってくれてよかったです。

 

各話感想

『わたしの本』

しおりは小学生向けの本を「わたしの本」という3歳児に出会う。なぜ「わたしの本」なのか……。

本に込められたささやかな言葉遊びが面白いです。カナちゃんもかわいい。

 

『長い旅』

60年ぶりに図書館に返された本。なぜ利用者は返せなかったのか。

謎解きと言うよりも、当時の事情をもとにお話を作ったという感じ。でも、子どもにとって昔の話というのは謎に等しいのかもしれません。

 

『ぬれた本の謎』

濡れてしまった『花の名前』という本。誰が本を濡らしたのか……。

この本で一番好きな話です。謎解きに絡められた心理描写が好きなんですよね。でも本を濡らすのはダメですよ。

 

『消えた本の謎』

盗まれていく児童書。その本にはある共通点が……。

本泥棒が意外と多いことは知らなかったです。でもちゃんといい話で終わって良かったです。犯人にはこれから頑張ってほしいです。

 

『エピローグはプロローグ』

図書館祭りの日、しおりの母は「行けない」と言い、しおりは一人でお祭りに出かけます。

この本の最初の伏線が回収される話。お母さんもこれをきっかけに前に進めたのかもと思うとよかったです。

 

『番外編 雨の日も図書館へ行こう』

雨の中で本を読もうとする女性。彼女の目的とは……。

謎解きが終わったと思ったらもう一段オチが用意されていました。ちょっとびっくり。

 

まとめ

子供向けといえど、よく考えられた物語で面白かったです。シリーズに続きがあるので、時間があれば読み進めたいなと思います。

図書館に入り浸っていた小学生時代を思い出しますね。

 

待っている怪談 白い本 (ポプラポケット文庫 児童文学・上級?)

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