展開にどきっとするショートショート集 九井諒子『ひきだしにテラリウム』感想

ショートショート、大好きです。

しかし漫画でショートショート集というのは初めて読んだかもしれません。

ひきだしにテラリウム

 書籍概要

SF、ファンタジー、メタ展開、コメディ、シリアスなどなど数ページで終わる漫画ショートショートを３３作詰め込んだ、九井諒子による珠玉の短編集。

様々な味が楽しめるバイキング

ショートショートの面白さを爆発させている一冊です。ひとつひとつの作品の発想が面白いし、オチもひとひねりきいています。これだけネタが出せることがすごいですね。

絵柄も作品に合わせて変化させ、その絵柄の変化すらネタになってしまうメタ仕様。漫画でしか味わえない楽しさを感じます。

もっと長く読みたいという作品が多いです。これをショートショートで終わらせてしまうのは贅沢ですね。

好きな話ピックアップ

全部の作品に感想を書くと長すぎるので、好きな作品だけピックアップします。

『恋人カタログ』

未来の自分から「これから知り合う女性のカタログ」をもらった主人公。彼は誰を選ぶのか……。

オチにほっこりしました。ショートショートなのに女性がかわいいです。この人に決めてよかったね！

『かわいそうな動物園』

動物園にアルビノの象が生まれ、処分されることに。なぜ体の弱い個体が処分されてしまうのか……。

絵本かわいそうなぞう のオマージュ……と思いきやもう一段階元ネタがあったというオチ。元ネタを知らないとよくわからないかもしれません。

『代理裁判』

バイトの女の子に無視された主人公。彼女は脳内で裁判を行います。

裁判風のあるあるネタ。自分に甘くなるのはよくわかります。公平な裁判というのはなかったのだ……。

『旅行へ行きたい』

旅行へ行こうと思った青年はダーツを使って場所を占うことに……。

完全にギャグ。ちょっとの気味悪さと、最後のコマの「やっぱり行ったんかい！」という感じが好きです。

『かわいくなりたい』

にゃんこがフルメイクするまで。

淡々と猫の化粧が描かれているだけなんですが、どうにもくせになります。猫はかわいい。

『ショートショートの主人公』

ショートショートの主人公として生まれた少女の物語。

「ショートショート」という概念すらネタにするメタフィクションっぷりが最高です。絵柄が違いすぎて笑えます。

『神のみぞ知る』

村にはびこる謎の疫病。それは巨大な獣の神が原因だという……。

でっかい猫はかわいいな！　という一作。猫らしく人間のことはあまり考えてなさそうなところが素晴らしい。

『こんな山奥に』

女性二人が気まぐれに入った食堂。その食堂はどうもさわがしく……。

オチににやっとする漫画です。よく見るといろいろネタが仕込まれているのがわかります。いくつ見つけられたかな？

まとめ

ショートショート面白かったです。もっと漫画の短編集が増えてくれるといいのに。

ふと思い出してにやにやできそうな一冊で下。

ちなみにこの漫画はAmazonアソシエイトの収益で買いました。ポチポチしてくださった皆さんありがとうございました。

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