ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

ファンタジーと青春を過ごした人間が選ぶファンタジーおすすめ32選

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

f:id:kazura24:20170212220940g:plain

「面白かったファンタジーの記事を書こうかな」ととりかかったら字数がびっくりするくらい増えました。昔ほど読まなくなったとはいえ、ファンタジーは私の青春でした。記事を書きながらその青春を思い出すのは楽しかったです。

注意点として、「ファンタジー」の定義をかなり広くとっているので、中には「これはファンタジーじゃないだろ」と言われそうものもありますが、そういうものとして許していただければ。

このブログ最大の文字数(2017年2月現在)でお送りする記事。楽しんでいただければ幸いです。

 

 

 

 

 

『これは王国のかぎ』萩原規子 角川書店

アラビア風の異世界にトリップした少女。しかもなぜかランプの魔人として。

さくさくと読める軽妙な文章が魅力的です。そして少女の大冒険という王道な展開をきっちり描いているのが大好き。異世界トリップの楽しさがあふれています。

そしてこの作品はオチが好きです。ドラマティックではないけれど、さらりと日常に帰っていくあの感じが、クールでドライでかっこいいです。

これは王国のかぎ (角川文庫)

これは王国のかぎ (角川文庫)

 

 

 

 『流血女神伝シリーズ』須賀しのぶ コバルト文庫

猟師の娘が数奇な運命をたどる壮大な歴史ファンタジー

レーベルは少女小説ですが、著者自身の歴史知識と男性キャラのリアリティある描写で男性読者も多いです。

まさかの連続と、悲劇も喜劇も含めて架空世界の歴史を堪能できる傑作です。

一部を除いて絶版なので入手困難なのがネックですが……。

帝国の娘〈前編〉―流血女神伝 (コバルト文庫)

帝国の娘〈前編〉―流血女神伝 (コバルト文庫)

 

 

 『王女コクランと願いの悪魔』入江君人 富士見L文庫

悪魔が出会ったのはクールな王女様。願いを言わない彼女から、なんとかして望みを聞き出そうとしますが……。

全く違うタイプのキャラクターが少しずつ心を通わせていくのがすばらしくきゅんきゅんします。

ただ、二巻以降出ていないのでひょっとすると打ちきりかもしれない……一巻だけでもキリよく終わっているのでぜひ。

王女コクランと願いの悪魔 (富士見L文庫)

王女コクランと願いの悪魔 (富士見L文庫)

 

 

 『魔女の宅急便角野栄子 角川文庫

魔女の修行のために旅立ったキキ。彼女は知らない街でお届けもの屋を始めます。

ほのぼのストーリーと侮るなかれ。思春期の少女の心理を描いた青春ものでもあります。特別な力を持っていても、普通の女の子のキキに共感できます。

キキの周囲の人たちも、優しくて個性的で見ていて飽きません。こういう人立ちに支えてもらえれば幸せでしょうね。

魔女の宅急便 (角川文庫)

魔女の宅急便 (角川文庫)

 

 

 『魔法使いハウルと火の悪魔ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 徳間書店

呪いによって老婆になってしまったゾフィーとわがまま放題の魔法使いハウルの恋愛ファンタジー

独特のウィットに満ちた会話と、魅力的な魔法世界が面白いです。動く城に入ってみたい。

別のキャラクターを主人公とした続編もあり。基本的に一巻完結なのでどこからでも読めます。

魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉

魔法使いハウルと火の悪魔―ハウルの動く城〈1〉

 

 

 『天山の巫女ソニン』菅野雪虫 講談社文庫

落ちこぼれの巫女見習いが侍女になって冒険する韓国風政治ファンタジー

社会や政治、差別などのヘヴィなテーマを扱いつつ、深刻になりすぎないドライさがあって読みやすいです。

読みながら、自分たちの住む現実と比べてしまうリアリティのある内容です。

キャラクターもかっこよくて爽快感があります。

天山の巫女ソニン(1) 黄金の燕 (講談社文庫)

天山の巫女ソニン(1) 黄金の燕 (講談社文庫)

 

 

煌夜祭多崎礼 中公文庫

冬至の夜、夜通し物語を語るお祭りを描いたファンタジー

最初は連作短編かと思いきや、ページをめくるごとにそれぞれの話がつながっていき、やがて一つの大きなエンディングを迎えます。その構成が見事です。

文庫版にはおまけとして後日譚つき。この後日譚がまた泣けるので、文庫版を買うことをおすすめします。

煌夜祭 (中公文庫)

煌夜祭 (中公文庫)

 

 

 『森の魔獣に花束を』小木君人 ガガガ文庫

植物人のモンスターと少年の出会いを描いた、童話チックな異種恋愛譚。

ほのぼのとしていて過激な描写がなく、ライトノベル初心者の人にもとっつきやすい一冊。内容的にはベタですが、ベタベタなものを読みたいときもあります。

ヒロインは可愛いし、恋愛描写がピュアピュアで安心して読めました。女性にもおすすめです。

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

森の魔獣に花束を (ガガガ文庫)

 

 

 『ヴァンパイア・サマータイム石川博品 ファミ通文庫

吸血鬼と人間が共存する現代社会のパラレルワールドで、人間の少年と吸血鬼の少女の恋愛を描く一冊。

青春の中の恋が丁寧に描かれていてきゅんきゅんします。昼と夜に引き裂かれる運命の二人の出会いは切ないです。幸せになってほしいですね。

ラストの美しさも特筆すべきものでした。ああいう終わり方をするのが素敵です。

 

 『円環少女長谷敏司 角川スニーカー文庫

あまたの魔法世界から「地獄」とされる地球でチート系魔法使いがドンパチするSFファンタジー

かなり癖は強いけれど、ハマると壮大なスケールの戦いが楽しくてわくわくします。チートVSチートって楽しい!

個性豊かすぎて変態しかいない魔法使いたちのキャラクターも笑えます。ヒロインですらおかしいです。

 

 『ようこそ女たちの王国へウェン・スペンサー ハヤカワ文庫

男が少ない世界で女王の姉妹に見初められるシンデレラボーイ物語。

正直あまり凝った世界設定ではないんですが、勢いのあるストーリーが面白くてどんどん読んでしまいます。

明るい下ネタがたくさん展開するのも楽しいです。

主人公がうらやましいかどうかはあなた次第です!

ようこそ女たちの王国へ (ハヤカワ文庫SF)

ようこそ女たちの王国へ (ハヤカワ文庫SF)

 

 

 『ダレン・シャンダレン・シャン 小学館ファンタジー文庫

友人を守るためにヴァンパイアになった少年の冒険ストーリー。

子ども向けながら怖い描写が多いダークファンタジーです。読み進めていくとその怖さが癖になってきます。

結構キャラクターも死ぬ過酷な内容。人気キャラクターでも死にます。諸行無常

今思うと子ども向けで出たことにびっくりです。

ダレン・シャン 1 (小学館ファンタジー文庫)

ダレン・シャン 1 (小学館ファンタジー文庫)

 

 

 『狐笛のかなた』上橋菜穂子 新潮文庫

使い魔の狐と少女が出会う、人外ミーツガール小説。

人間関係は結構ドロドロで、業を感じさせます。どうにもならない部分もありながら、それでも運命に屈することをしない主人公がかっこいいです。

和風だけれどどこか違う、独特の世界観も素敵。

人外×人間のラブストーリーでもあるので、人外スキーの方におすすめです。

狐笛のかなた (新潮文庫)

狐笛のかなた (新潮文庫)

 

 

 『RDG レッドデータガール』荻原規子 角川文庫

山伏の少年と出会ったことをきっかけに、不思議な学校に行くことになった少女の現代ファンタジー

地に足のつかないふわふわした少女だった泉水子が、友人を得て交流するうちに成長し、自分の意思で未来を歩き始めるのが王道で面白いです。

恋愛パートも「逆にずるい」とほどに魅力的で、読み進めるのが楽しい作品です。きゅんきゅんしてしまう!

 

 『後宮小説酒見賢一 新潮文庫

中国に似た架空の国で、ちょっと変わった少女が後宮の正妃に選ばれる歴史書風のシンデレラストーリー。

明るい下ネタにあふれていて、読んでいてにこにこできます。ここまであっけらかんと描かれると嫌悪感もあまりないです。

キャラクターも愉快でたくましくて、見ていて飽きないです。全員頑張ってほしいなと思えます。

後宮小説 (新潮文庫)

後宮小説 (新潮文庫)

 

 

 『ホビットの冒険』J・R・R・トールキン 岩波少年文庫

ホビットドワーフと大冒険する行きて帰りし物語

いろんなファンタジーの元ネタになっている作品なので、ファンタジー好きには「これ〇〇で見たやつだ!」という進研ゼミ的な読み方ができる作品です。

もちろん練られた世界観もとても面白いです。

指輪物語』よりは短いので、指輪に挫折した人にもおすすめです。

ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)

ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)

 
ホビットの冒険〈下〉 (岩波少年文庫)

ホビットの冒険〈下〉 (岩波少年文庫)

 

 

 『はてしない物語ミヒャエル・エンデ 岩波書店

うだつの上がらない少年が、本の中に入って冒険するメタ系ファンタジー

異世界トリップの古典といえる作品なので、異世界ものが好きな人には面白いと思います。

異世界で自分の内面と向き合い、成長していくバスチアンの姿を見ていると、自分も前向きに生きられそうな気がしてきます。

まさにファンタジー!という感じの個性的な世界観も魅力的です。

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー)

 

 

 『こそあどの森の物語シリーズ岡田淳 理論社

個性的な住民が暮らしている「こそあどの森」。この森では少しだけ不思議なことが起こります。

日常の中のちょっとした冒険や、不思議な体験を描いているのが面白いです。そして描写が美しくて読んでいてわくわくします。

『ユメミザクラの木の下で』は大人のほうがしみじみしてしまうタイプの話だと思います。

ふしぎな木の実の料理法 (こそあどの森の物語 1)

ふしぎな木の実の料理法 (こそあどの森の物語 1)

 

 

 『魔法使いクレストマンシーシリーズ』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ 徳間書店

さまざまな世界を渡り歩く魔法使い、クレストマンシーの冒険を描いたシリーズ。

登場するどの世界も個性的で面白いです。ファンタジーらしいギミックがいっぱいあります。

ちょっと変わってるけどなんだかんだで世話焼きなクレストマンシーも愛しいです。

基本的に一冊完結なので、シリーズのどこから読んでも大丈夫です。ただし短編集は後の方がいいかも。

魔法使いはだれだ ― 大魔法使いクレストマンシー

魔法使いはだれだ ― 大魔法使いクレストマンシー

 

 

 『勾玉三部作荻原規子 徳間文庫

日本神話をモチーフにしたファンタジーシリーズ。

伝説をもとに丁寧に練られた展開と、登場人物たちの細やかな心理描写がとても美しいです。

ところどころにユーモラスな会話があって、シリアスなだけではないところも息抜きになって好きです。

私は『白鳥異伝』が一番好きですね。幼馴染っていいよね!

空色勾玉 (徳間文庫)

空色勾玉 (徳間文庫)

 

 

 『ブレイブ・ストーリー宮部みゆき 角川文庫

幻界(ヴィジョン)と呼ばれるゲーム風の世界にトリップする二人の少年の物語。

冒険を通して自分自身と向き合い、成長していく様はまさに王道で面白いです。そして主人公とライバルの関係性も魅力的です。

ゲーム風の世界観が、RPGで育った人には懐かしいですね。自分がトリップしたらと、想像してみたくなります。

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (上) (角川文庫)

 
ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)

ブレイブ・ストーリー (下) (角川文庫)

 

 

 

 『プリンセスハーツ』高殿円 ルルル文庫

偽物の皇女と、野心あふれる大公が宗主国への下剋上を図る陰謀と恋愛の王宮ストーリー。

少女小説なのに主人公カップルの目標が「宗主国を乗っ取る」ことなのが逆にインパクトがあります。そんな中でちゃんとラブも成立しているからすごいです。

脇役キャラも個性豊かで、どんどん続きが気になっていきます。読んでいてわくわくする本です。

プリンセスハーツ―麗しの仮面夫婦の巻 (ルルル文庫)

プリンセスハーツ―麗しの仮面夫婦の巻 (ルルル文庫)

 

 

 『遠征王シリーズ』高殿円 角川ビーンズ文庫

男装の女王がいろいろなところに出かけて事件を解決する西洋ファンタジー。『プリンセスハーツ』の未来に当たる作品。

シリアスとギャグのギャップがひどいです。でも妙に癖になるテンポ。

おねショタ、百合、年の差など、あらゆる属性を内包した恋愛ファンタジーでもあります。作者の性癖博覧会って感じです。普通のファンタジーの萌えには物足りなくなった人におすすめです。

 

 『銃姫高殿円 MF文庫J

銃で魔法を発動できる世界で、「銃姫」という謎の存在を探す一行を描くファンタジー

過酷な展開が多く、トラウマライトノベルとしても有名です。しかしただ過酷なだけではなく、登場人物があがきながら成長していくので爽やかさもあります。

銃による魔法発動シーンは本当にかっこいいです。情景が映像になって想像できます。

 

『ベイビー、グッドモーニング』河野裕 角川スニーカー文庫

死神の少女が、もうすぐ死にそうな人たちに出会っていく連作短編。

死神と言うテーマはベッタベタなんですが、登場人物一人一人の感情を丁寧に書いていて面白いです。

たとえ死の運命が覆らなくても、彼女に出会ったことによって登場人物は少しだけ救われます。そこがこの小説の優しいところです。

 

 『カラフル』森絵都 文春文庫

天使によってよみがえらされた少年は、試練として他人の人生を生きることに。果たして彼は生き返ることができるのでしょうか。

妙にフランクな天使との掛け合いが面白いです。語り口はポップで軽妙ですが、今生きている人生について考えさせられる深い部分もあります。

自分の人生のいいところも悪いところも受け止め、前に進もうとする爽やかな小説です。

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

 

 

 

 『犬と魔法のファンタジー田中ロミオ ガガガ文庫

冒険の時代は遠くなり、太平の世で就職活動をする魔法使いや剣士たちの物語。

ゲーム風の世界観ながら話自体はブラックで風刺的という個性的なお話。地に足が着きすぎてて悲しくなってきます。エルフに対する独特の設定も面白いです。

ファンタジーを通して現代社会の闇を知ってしまう、心に深刻なダメージを与えてくれる作品です。

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫)

犬と魔法のファンタジー (ガガガ文庫)

 

 

 『南の子供が夜いくところ』恒川光太郎 角川ホラー文庫

架空の南の島を舞台にした、ちょっと不思議な連作短編。

どこかにありそうでどこでもない世界観が魅力的です。ホラーレーベルらしくおどろおどろしい描写もあり。

妖術や謎の生き物がふらりと現れる、現実と陸続きになっていそうな幻想的な現代ファンタジーです。

 

 『アラビアの夜の種族』古川日出男 角川文庫

ナポレオンの侵攻が迫っているエジプト。ナポレオンを倒すために、特別な本を作り出そうとする……。

語られるストーリーがぶっ飛んだ展開の繰り返しでついつい読み続けてしまいます。下ネタもかなり多いけれど、謎の疾走感があるからあまりいやらしく感じません。

ちなみにウィザードリィが元ネタらしいです(未プレイ)。ゲームが好きな人には面白いかも。

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

アラビアの夜の種族〈1〉 (角川文庫)

 

 

 『十二国記シリーズ』小野不由美 新潮文庫

中華風の異世界にトリップしてしまった女子高生が荒れた国の王様になる話。

一行で言うとなろう小説みたいだけど、重厚な世界設定が魅力的なハイファンタジーです。

王とは何か、善とは何かという倫理的な問題を問うストーリーでもあります。エンターテイメントとして面白いのはもちろん、現代社会と比べて考えさせられる内容です。

月の影 影の海〈上〉―十二国記 (新潮文庫)

月の影 影の海〈上〉―十二国記 (新潮文庫)

 

 

 

 『僕たちは歩かない』古川日出男 角川文庫

クリスマスの夜、地面に足を付けないで進む男たちの物語。

「僕たち」を一人称とする独特の文章と、山手線を舞台にした、日常の中のちょっとした不思議が合わさって幻想的な作品になっています。

短い小説ではありますが、アイデアが面白い作品です。

自分の隣にあるかもしれない不思議な世界に思いをはせたくなりました。

 

 『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』枯野瑛 角川スニーカー文庫

 滅びを目前とした世界で、人型兵器の妖精たちの面倒を見ることになった青年の物語。

設定が設定なので、悲劇的なシーンがとても多いです。けれどただ単純に悲しいのではなくて、悲劇の美学を感じる内容なのでどんどん読みたくなってしまいます。

儚い人生をどう過ごすか、必死に考えてあがいて前に進む妖精たちの姿がいとおしくなってきます。

 

まとめ

まず自分がこんなにファンタジーを読んでいたことにびっくりしました。最近はSFを読むことが多かったけれど、やっぱりファンタジーが好きなんですね。

そんな人生を共に過ごしてきたファンタジーたちを、気に入ってくれると幸いです。