巫女さんってこう、ロマンがありますよね。現実には高校生のバイトだけど。
あらすじ
体に様々な神を宿す神無妻の七芽。彼女は空飛ぶ船に乗って、世界を渡り歩いています。そんな七芽がたどり着いたのは百地島というおもちゃのような世界。そこで暮らす子どもたちは成長をしません。七芽は大人になりたいタウロという少年に力を貸します。
児童文学のようなおもちゃの世界
おもちゃの世界の描き方が面白いです。ルービックキューブのように回転する町、ブロックでできた犬、折り紙の鳥。児童文学のような世界観でかわいらしいです。
イラストも、かわいくてポップな感じでその世界観に良く合っていました。ちょっと子どもっぽい絵柄がかわいいです。
物語も、少年の成長を描いていくという王道的な展開です。そこに至るまでは独特ですが。あまりライトノベルに関心がない人にも興味が持てるストーリー運びかもしれません。
作品全体に漂うポップで前向きな雰囲気で、どんどん先を読みたくなってしまいます。七芽の主人公属性っぷりも読みやすくて好きです。
暗喩と言葉遊びが繰り返される
ほのぼのした世界観のように見せながら、中盤あたりから世界の真実が明かされていきます。この世界は暗喩と言葉遊びでできていて、七芽と相棒、クレクレは創造主の意図を追っていきます。
こういうの宗教絵画を学んだことのある人は楽しいですよね。ああいうのも隠喩のオンパレードなので。
ネタバレになってしまうのでぼかしますが、「タウロ・ピサンリ」のピサンリはそのままの意味ではなくて第二次性徴的なあれですよね。たぶん……。
明かされていない部分は、これはこうなのかな? と考えられて面白いです。もっと詳しい人ならいろいろわかるかもしれませんが。
まとめ
ライトノベルではあまりない、隠喩や象徴が使われていて面白かったです。読んでいるだけでわくわくしました。
タウロには幸せになってほしいです。