ブックワームのひとりごと

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あったかもしれない未来がこんにちは 小川一水『煙突の上にハイヒール』感想

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煙突の上にハイヒール (光文社文庫)

あらすじ

個人用の飛行機械を購入した女性、クリスマスイブの女性と介護ロボットの少年との出会い、新型インフルエンザが猛威を振るった後の世界など、日常の中の科学を描いたSF短編集。

 

今の世界と少し違う未来を描く

この短編集は「今の世界と似ているけど、少し違う」という未来を描いていて読みやすかったです。現実に近い分話に入り込みやすかったです。

文章も癖が少なくてシンプル。

科学の専門知識がなくてもさくっと読めるので、SF初心者におすすめです。

 

 各話感想

『煙突の上にハイヒール』

恋人が逮捕されやけっぱちになった「私」は、個人用の飛行機械「Mew(ミュー)」を購入し空の旅を楽しみます。

設定やキャラクターは面白いけど、さらっと終わってしまったのが物足りないです。もっとじっくり読んでみたかったです。

 

『カムキャット・アドベンチャー

主人公はいつの間にかぶくぶく肥った飼い猫にカメラを付け、どこで餌をもらっているのか調べようとしますが……。

出てくる女の子にギャップ萌え。こういうふとした優しさを感じられるとどきどきします。

 

『イブのオープン・カフェ』

傷心の女性が出会ったのは介護用ロボットでした。二人はオープンカフェで話をします。

会話劇なのにハラハラする展開で面白かったです。もう二度と会うことがない組み合わせなのに、その一瞬で救われて優しい気持ちになりました。

『おれたちのピュグマリオン

同僚の研究者稔が人間に似た家事ロボットを作り出す。「おれ」はそれを売り出すことに……。

この短編集で一番好きです。オチがすごくよかったのだけれど、ネタバレになってしまうので言えないという。なんでもうまくいくわけではないですが、テクノロジーは確かに人を救うんですね。

『白鳥熱の朝に』

 鳥インフルエンザの流行によってぼろぼろになった日本。一人暮らしの男性のもとに、少女がやってくる。

おっさん少女いいですね。恋愛と言うわけではないですが、なんとか肩を寄せ合って生きていこうとする二人が愛しかったです。

 まとめ

日常感があって面白かったです。がっつりSFではないけれど、その分キャラクターに共感しやすかったです。

またぽちぽち読んでいきたいですね。

 

煙突の上にハイヒール (光文社文庫)

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妙なる技の乙女たち (ポプラ文庫)

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