ブックワームのひとりごと

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クモ神の息子、兄弟に人生をめちゃくちゃにされる ニール・ゲイマン『アナンシの血脈 上』感想

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アナンシの血脈 上 (角川文庫)

クモはわりと平気ですが、でかいのになるとつらくなってきますね。この辺では大きいクモはめったに出ませんが。

益虫だから積極的には殺せません。

 

あらすじ

チャーリーの父が死に、チャーリーは自分の父親がクモの神アナンシだったことを知ります。自分の兄弟がいると言われ、チャーリーは兄弟、スパイダーを呼び出します。しかし、スパイダーは不思議な力でチャーリーの人生をめちゃくちゃに……。

 

シリアスかと思ったら結構ギャグだった

アフリカ風現代ファンタジーということで、なんとなくシリアスなものを想像していたんですが、意外とユーモラスで笑える内容でした。

作品全体に漂う人を食ったような雰囲気が面白いです。いいも悪いもないような、突き放したおかしさがあります。

クモ神アナンシは、いたずらで動物たちを困らせる存在だったようなので、その部分を意識してすっとぼけたストーリーになっているんでしょうね。

チャーリーの弟、スパイダーや神であるチャーリーの父親の、倫理観にとらわれないキャラクター性が面白いです。神じゃないと許されない性格をしています。いや、チャーリーは許してないですが。

独特のユーモアににやにやしながら読んでしまいました。悲惨な展開もあるのに楽しくなってきます。

 

テンポよく展開していくストーリー

神話ファンタジーなので展開はかなりはちゃめちゃです。しかしストーリーのテンポが非常によくてぐいぐい読めてしまいます。

チャーリーの問題がかなり切実であるにもかかわらず、笑えてしまうのもテンポのよさゆえです。

話の整合性を考えるよりも、わけのわからないシュチュエーションと展開を楽しむ小説なのかな、と思います。

でもまだ一巻なので、これから伏線回収される可能性もあります。チャーリーの人生がどうなるのか楽しみです。

金原瑞人の翻訳も読みやすくていいです。この人の訳が好きなので、見かけるとつい読んでしまいます。