吸血鬼小説を読んでいくシリーズ。作者は『氷と炎の歌』の人なんですね。
あらすじ
事故で船を失った船長アブナーは、謎の富豪に出資を持ちかけられる。彼は船を作り、共同経営者になりたいと言う。「フィーヴァ―ドリーム」と名付けられた船は旅立った。しかし、富豪ジョシュア・ヨークには秘密があった。
二つの視点から描かれるドキドキ感
この作品はふたつの視点から描かれています。ひとつは、ジョシュア・ヨークが何者なのか不審に思っている船長アブナーの視点。もうひとつは、冷酷な血の支配者(ブラッドマスター)ダモン・ジュリアンの視点です。
ふたつの視点のリンクがどうなっていくのか、はらはらしながら見ました。さりげないミスリードが仕込まれていて、気づいたときにははっとしました。
この作品が吸血鬼ものだということは比較的序盤でわかります。しかし、主人公アブナーが気づくまでは時間がかかるので、読者として「早く気づきなよ!」と話しかけたくなってしまいました。
いいところで上巻が終わってしまい、引きのうまさを憎く思いながらこの感想を書いています。
奴隷制時代のアメリカの栄光と影
この作品の舞台は奴隷制時代のミシピッピ川です。黒人奴隷は容赦なくこき使われ殺されています。
奴隷制時代の小説を読む機会が少ないので、なんだか新鮮でした。確かに吸血鬼ものと相性がいいかもしれません。
同時に、船のきらびやかさ、蒸気船に乗る船乗りたちの文化がよくわかって面白かったです。そのシーンがはつらつとして明るいほど、闇の部分が深くなります。
美しい部分と凄惨な部分がバランスよく展開していき、ひとつの物語が生み出されていきました。
タイトルにもなっている「熱」(フィーヴァー)という言葉が話を引っ張っていってくれます。
まとめ
吸血鬼+船乗りものという設定が面白かったです。描写もそれに負けず劣らずかっこよくドロドロで楽しいです。
下巻を読むのが楽しみです。

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