またまた吸血鬼ものを読むシリーズです。
あらすじ
夜の眷属たちを血の渇きから解放したいと願うジョシュア。しかし、血の支配者(ブラッドマスター)ジュリアンの前に敗北してしまう。しかし、ジョシュアは彼の支配の中でもあきらめていなかった。
血の支配者ジュリアンの中の虚無
ジュリアンが非常に怖かったです。絶対現実に会いたくない。
長い長い生の中で、人間らしさを失い、ただ残酷さだけが残った存在。まさに人間の姿をした化け物でした。話が通じているようで通じていない。
そんなジュリアンに、マーシュとジョシュアが協力して立ち向かっていくのが熱かったです。自分より強いものを倒す、というのは王道ですがやっぱり面白いです。
当時の奴隷制を、吸血鬼ものとリンクさせつつ、恐ろしい吸血鬼のボスを作り上げた手腕に拍手したいです。
何度殺そうとしても殺せないジュリアンに、読者として何度も絶望的な気分になりました。
これが二人の「熱病の夢」
この作品では、「フィーヴァー(熱)」という言葉がたくさんの意味を持ちます。
吸血鬼の吸血衝動、熱病、何かの熱に浮かされること。そして川の名前。何重にも張り巡らされた「熱」の反復が、とてもかっこよかったです。
ジョシュアとマーシュにとって、この物語はまさに「熱病の夢」。彼ら以外に起こったことは知られていません。ただひっそりと、みんなを救っていたのです。それがロマンチックで好きです。
船への熱から冷めたマーシュがどうしたのか、吸血衝動から解放されたジョシュアがどう暮らしたのか、いろいろ想像することはできます。しかしあえて書かないのが、スマートな終わり方なのだろうと思います。
まとめ
吸血鬼と人間の友情物語が面白かったです。かっこよくてハラハラドキドキする話でした。
私のように、吸血鬼ものを探している人におすすめしたいです。

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