【中古】よばいのあったころ 証言・周防の性風俗 向谷喜久江 マツノ書店B6版
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 民俗 > 風俗・習慣
- ショップ: 光国家書店
- 価格: 1,800円
Twitterで知り合いが読んでいて内容が気になったので借りました。
Amazonに書籍がないので、こちらで。結構レアな本なようです。かなり大きい図書館でないとないかも。
書籍概要
夜這いや婚姻、出産などの、大正時代の村落の性風俗。古老たちに聞き取り調査を行い、それを一冊の本にまとめた。はたして昔の「性」とはどのようなものだったのだろうか。
結構自由恋愛はあった
驚いたのが、村によってかなり差はあるものの、意外と自由恋愛が存在していたのだということです。
もちろん身分差などのタブーはあるのですが、昔の性風俗は厳格一辺倒のものではなかったのだなと感じました。
タイトルにもある「夜這い」も男尊女卑の文化ではありました。しかし強姦はほとんどなかったようです。確かに家族も寝てる部屋でやるので、無理やりやろうと思っても不可能ですよね……。
もちろんそれは今でいう「恋愛」とはちょっと違いますが、年頃の男が女の子とキャッキャウフフしたいのは時代を問わないんだと感じました。
昔の性風俗について、なんとなく持っていたイメージがぐっと具体化して面白かったです。
今とは違う結婚のしくみ
それから、紹介されている結婚生活も興味深かったです。
やっぱり女に人権は無かったのでそれは大変そうでした。姑にいびられる生活は辛かったようです。お金もないのでお小遣いを子どもにやるのにも一苦労。
姑から嫁へ、「杓子首」という一家の主婦の権利を受け渡すのが面白かったです。確かに主婦が二人いるとややこしいんですよね……。
若衆宿の男たちが結託して花嫁を盗んでくる「嫁盗み」は今となっては小説のようですね。でもこの時代で恋愛結婚を通すには、それなりの物語を作る必要があったんだろうなと思います。
家の面子や男の希望のいい落としどころがあれで、別にロマンティックなだけではない風習なのでしょう。
まとめ
昔の「社会」の実像が具体的に見えてきて面白かったです。社会の仕組みって結構簡単に変わっていくんですよね。
伝統的家族観とかなんとか言う人々にこれを読ませてびっくりさせたいものです。