『青春離婚』というタイトルがキャッチ―で気になっていた本です。背景はバーコードでしょうか。
あらすじ
同じ苗字を持つゆえに、「夫婦」とからかわれる二人。アプリ開発をきっかけに、彼らの距離は縮まる。表題作『青春離婚』などを含む、スマートフォンと恋愛を題材にした青春連作短編集。
若者のテクノロジーと恋愛
ちょっと前の小説とはいえ、流行しているテクノロジーを反映させた小説というのは新鮮でした。多くの青春小説では、その辺のテクノロジーのことはぼかしてしまいますからね。
なかなかそう上手くいくことはないだろうとは思うのですが、日常の中にちょっとくらいのファンタジーを期待してもいい、そう思える作品集でした。
各話感想
「青春離婚」
苗字が同じであるがゆえに「夫婦」とからかわれる郁美と灯馬。灯馬がアプリのイラストを郁美に頼んだことから、二人に秘密ができる。
ちょっとした秘密の心地よさ、それを破られたときの怒りという心の動きが納得いく形で描かれていました。
「非公式恋愛」
郁美と灯馬が作ったヤギのアプリのキャラクター。その非公式botを作った「僕」に、ある日批判的なリプライが飛んでくる。
ちょっと変わったテーマの話で終わると思いきや、驚きの結末が待っていました。これからどうなるのか気になりますが、ここで幕を引くのが一番美しいのだろうなと思います。
「家族レシピ」
親の再婚できょうだいになる予定の真啓と梓菜。二人は「レシピファーム」というアプリをきっかけに二人で料理をするようになる。
離婚しているからと言って特別扱いされたくないという、真啓の感情が若者らしくてよかったです。
ラスト近辺の真啓の自慢げな顔が目に浮かぶようでした。
まとめ
さくさくと読めて面白かったです。
ネットの移り変わりは早いので、いつまでこの本がリアリティをもって受け止められるかわかりません。ぜひ今のうちに読んでほしいです。