ブックワームのひとりごと

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思慮深い死刑執行人はどうして国王の首を刎ねたのか 安達正勝『死刑執行人サンソン 国王ルイ十六世の首を刎ねた男』感想

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死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

FGOにおけるおすすめ資料として紹介されていて、FGOやってないけど気になった本です。

 

書籍概要

代々死刑執行人を務めてきたサンソン家。その四代目のシャルルーアンリ・サンソンは国王ルイ十六世の首を刎ねたことで歴史に名を残した。博学で思慮深い彼が、国王の首を刎ねるまでをたどった本。

 

育ちのいい死刑執行人

驚いたのは、サンソンの育ちがすごくいいことです。親にしっかりした教育を与えられ、倫理観が人一倍強く、義憤に駆られてもきちんと理性的に反論しています。

そもそも、死刑執行人が貴族のような生活をしていたのが意外でした。誰もやりたがらない仕事だからこそ、特権が与えられていたようです。

彼の行動の端々に、彼自身の優しさがにじみ出ていて、会ったことのない人なのに好きになってしまいました。

だからこそ、敬愛していた国王の首を刎ねなければならなかった彼は本当につらかっただろうなと思います。

死刑執行人の家に生まれついたことの悲劇がなんともやるせなかったです。

 

若干脚色過多な気がする

この本は資料に基づいた本ではありますが、ところどころ「これは著者の脚色なのか、それとも史実なのか」わからない部分がありました。

だから、可能であれば他の資料と読み比べてみたほうがいいと思います。

ただ、一番重要な文献の『サンソン家回顧録』は日本語訳されていないし、マイナーな人物だけあって本もあまり出ていないので、難しいな……。

ざっと流れを追うにはいいと思いますが、ドラマチックに書かれている部分はそのまま信じず、少し距離を置いて眺めるのがいいかなと思います。

内容はとても面白く、気軽に読めるので、普段新書を読まない人にもおすすめできると思います。

 

まとめ

面白かったですが、ちょっと眉唾つけたほうがいいかな?という部分もありました。

機会があったら他の本を読んで情報を吟味したいですね。

死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

 
パリの断頭台 〈新装版〉: 七代にわたる死刑執行人サンソン家年代記

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