ブックワームのひとりごと

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イランの少女から見た戦争、思想弾圧、戦火の日常 マルジャン・サトラピ『ペルセポリス』1、2巻感想

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ペルセポリスI イランの少女マルジ

 

あらすじ

イランに生まれた少女マルジことマルジャン。革命がおこったイランは、不穏な空気に包まれていた。日常的に人がいなくなり、投獄され、拷問され……。マルジの自由な性格に危険を感じた両親は、マルジを国外に出す。

 

欠点をあっさり話すあけっぴろげな雰囲気

マルジこと著者の人生は波乱万丈で、イランで戦争を経験し、逃げた先のオーストリアで薬物中毒になり、イランに戻って学生をし、パーティして逮捕される……と説明するにも情報が多いです。

苦労を繰り返しながらも、ただの不幸話に終わらないのは、著者が自分の欠点や失敗についてさらっと描いてしまっているからだと思います。

マルジは基本的には倫理観の強い子なんですが、ときどきこいつひどいな! ってシーンがあって、そこに生々しさを感じます。友達をリンチしようとしたり、知らない人に濡れ衣をかぶせたり。

もちろんやってはいけないことなんですが、それを正直に、淡々と描くことでむしろ好感を持てました。自分の欠点を冷静に見つめることのできる人なんですね。

 

少女から見たイラン

この本は、戦争が日常にあるということはどういうことかを教えてくれます。

日本でもこういう時代があったのだと思うけれど、戦後70年を過ぎ、それはあまりぴんとこないものになってしまっています。

「今」という文脈で戦争を語るマルジによって、戦争を想像しやすく思えました。

戦争があるからと言って嘆いたり悲しんだりするだけではなく、楽しめることは楽しもうとするイランの人たちのたくましさも印象的でした。

命の危険があるので反逆するのはなかなか難しいけれど、心は自由でいたいという気持ちが伝わってきました。

 

まとめ

自分が知らないことばかりだったので面白かったです。イランの本は何冊か読んだことはあるけれど、生活がダイレクトにわかるものは少ないですからね。

他の作品も読んでみたいですね。

 

ペルセポリスI イランの少女マルジ

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ペルセポリスII マルジ、故郷に帰る

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