あらすじが気になって手に取った本。ボードゲームで国を支えるとはどういうことなのか……。
あらすじ
「天盆」というボードゲームで立身出世をする国。捨て子の凡天は、幼いころに天盆の才能を見せ、貪欲に知識を吸収していく。凡天の家族は、それを見守り応援していた。やがて凡天は大会に出ることになり……。
架空のボードゲームの面白さ
「ボードゲームで立身出世する」というと、おかしな設定に思えますが、話が面白いので読むにつれてそのリアリティはどうでもよくなっていきました。ひとつひとつの戦いが熱く、かっこいいのでさくさく読めてしまいます。
そしてその天盆というゲームを通して、凡天が相手の心を変えていくのが痛快でした。凡天と戦うことによって、一歩前に踏み出せたり、強くなれたりしている。凡天の兄二秀がその最たるものでしょう。
心の問題をなんでもかんでもボードゲームで解決するすごい話ですが、そのぶれないところが面白いんですよね。
ボードゲームにステータスが偏りまくった作品という感じです。そして、ゲームにステータスを振る作品というのはそうないからすごく刺激的でした。
家族がみんなかっこいい
もう一つの見どころは、凡天の家族です。夫婦と捨て子たちの血のつながらない家族なのですが、その結びつきがいとおしいです。
13人もいる捨て子の全員をさくさく覚えてしまいました。それだけキャラの書き分けがはっきりしているんですよね。どの子も魅力的です。
凡天を特別尊んでいるわけでも、やっかいに思っているわけでもなく、ただ「家族だから助ける」。そのシンプルなあり方がかっこよかったです。
こういう家族のもとで育ったからこそ、凡天は自由に、天盆を追い続けることができたんだろうなと感じました。
凡天の家族の懐の深さ、まっすぐな強さが心を打ちました。こういう風に生きられたらきっと幸せでしょうね。
まとめ
すごく面白かったです。これはきっとこれから売れる本だと思います。本当に刺激的な読書体験でした。
というか売れてくれないと困る。これからどんどん売り出してください。