吸血鬼小説を読むシリーズ。
あらすじ
四つの演劇部の選抜合同公演に参加することになった詩也。演目は『とりかえばや』。詩也はプレイボーイな宰相中将に苦戦する。稽古するうちに、ある人物が吸血鬼ではないかという疑いがもたれ……。
時の流れの中で変わっていくもの
この巻の裏の主役ともいえる、偲(しのぶ)の心の動きが悲しかったです。
永遠を誓っても、いつか心は変わります。抗いようのない時の流れは、吸血鬼だけではなく人間にもある。それによって切ない気持ちになりました。
偲は、普段はクールで分け隔てのないタイプなんですが、ときどき愁いの帯びた顔をしたり、感情をあらわにしたりするギャップがいいですね。彼女にめろめろになる人々の気持ちがわかります。
そしてそんな美しく、はかない人がああいう決断に至ったというところがいいんですよね。これからはたくましく強く生きてほしいです。
失ったものは取り戻せないけれど、それでもなかったほうがいいわけじゃない。そう思います。
同じものを見てすれ違う二人
一方で、主人公詩也と綾音の関係は少しずつ変わっていきます。
はたから見てると「早く素直になれよ!!」と言いたくなるんですが、それができないのが異種族恋愛ですよね。もだもだします。
望むものは同じなのに、アプローチの仕方が違うのでこれからすれ違いまくるんだろうな……。どう解消していくのでしょうか。
『とりかえばや』の劇をきっかけに、心境の変化があった詩也。しかしこのままでは終われないだろうので、どうなるのか気になります。
ハーレムの一員たるサブキャラクターたちがどこへ行くかも気になります。彼女らも、最終巻までには何らかの結論をもってほしいですね。
まとめ
今巻も面白かったです。続きが楽しみです。
偲のキャラクターはとても好きだったので、これからも出番があるといいなと思います。これからは前向きに、新しい恋に挑んでほしい。
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