ブックワームのひとりごと

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停電で出会った4人の少年少女が恋を通して成長する 三上康明『恋の話を、しようか』感想

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恋の話を、しようか (ガガガ文庫)

 

あらすじ

予備校の停電によって、お互いに興味を持ち始めた4人の少年少女。言葉を交わすうちに、少しずつ惹かれ合っていく。お調子者のミツルを中心に、4人の恋心が入り乱れる青春ラブストーリー。

 

親との少しの軋轢を描く

印象的だったのが、この作品における家族の描き方です

虐待や毒親というほどではなけれども、親となんだかうまくいかない。考え方の違いにぶち当たり、どうしていいのかわからずに立ちすくむ……。そういう部分がリアリティがあって面白かったです。

親の言うことを全面的に信頼できないようになって、自分の考えで前に進み始める。そこがとても「青春」という感じでよかったです。

あからさまな萌え要素が少ないので、ライトノベルレーベルでないほうがおすすめしやすい気もします。でも、それだとこの柔らかい水彩風のイラストがつかなかったでしょうから、痛し痒しですね。

 

あなたと出会って救われたわけではないけど、考え方は変わった

恋愛面でよかったのが、登場人物が恋をきっかけに少しずつ考え方を変えていくことです。

4人が出会い、交流したことで、「こういう人生もありなんだ」と気づき、少しずつ変わろうと一歩を踏み出していくところが優しい話でした。

救済とかハッピーエンドとか、ドラマティックなものではないですが、それはそれでとてもロマンチックな恋のありかただと思います。

 このような恋愛関係を見ると、細川貂々の『イグアナの嫁』を思い出します。彼女も夫である「ツレ」を通して、新しい自分を見つけたんですよね。

イグアナの嫁 (幻冬舎文庫)

イグアナの嫁 (幻冬舎文庫)

 

 

まとめ

とても地味な作品ですが、「恋愛っていいな」と素直に思える話でした。

あまりライトノベルらしくない作品なので、ライトノベル初心者も気軽に読めそうです。

恋の話を、しようか (ガガガ文庫)

恋の話を、しようか (ガガガ文庫)

 
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