『吸血鬼になったキミは永遠の恋をはじめる』が面白かったので、お礼課金。よかった、本当に良かった……。
あらすじ
両親の離婚の話し合いの間、田舎の家に預けられた千星。彼女はそこで新聞配達をしている少年、陸と出会う。朝の新聞配達のときに起こる小さな触れ合いを通して、ふたりはお互いに惹かれ合っていく。
過酷な家庭環境に悩む中の救い
主人公ふたりの家庭環境が過酷で、そこは読むのが辛かったです。
愛のない夫婦の間に生まれた千星と、ネグレクトされながら育った陸。自分でどうにもならない理不尽さに傷つき、千星は泣けなくなり、陸は笑えなくなってしまいます。
そんなふたりが出会い、新聞配達の間に短い言葉をやりとりするうちに、お互いのことを救いに感じていくようになります。
その細やかな心の動きが、リアルに丁寧に書かれていたので、ふたりを応援したい気持ちでいっぱいになりました。
あと、陸に恋するわき役の少女、涼加(すずか)がかわいそうで興奮しました。こういう容赦のない展開、結構好きなんですよね。恋した相手が陸でなければもっと幸せになれただろうに……。
少しだけ希望のあるラスト
主人公たちは普通の中学生なので、ラストでも特別なことはなく、読者の予想通りにことは進みます。
けれど、この恋がふたりにとって少しだけ救いになっていることがわかって、読者としてもほっとしました。
ままならないことはいくらでもあるけれど、「生まれてきてよかった」と思える奇跡のような瞬間を胸に抱いて、前に進んでいくしかない。そういう終わり方でした。
あからさまな萌え要素というものがないので、ライトノベルレーベルで出さないほうが売れたんじゃないかと思うんですが、それはそれとして挿絵は素晴らしかったです。
ライトノベルという枠にこだわらず、いろんな人に読んでほしい一冊です。
まとめ
こんないい本が初版で止まっているのはもったいないですね。もっと売れてほしいです。
少年少女の軌跡のような一瞬が、心に響きました。
親友の彼女を好きになった向井弘凪の、罪と罰。 (ダッシュエックス文庫)
- 作者: 野村美月,河下水希
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2014/11/21
- メディア: 文庫
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感想とは離れるんですが、この話には米津玄師の「サンタマリア」が似合うと思うのでこっちも聞いてみてください。