ブックワームのひとりごと

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幼年期からの脱出は(普通の)人類にはどうにもできなかったよ アーサー・C・クラーク『幼年期の終わり』感想

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幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

 

あらすじ

ある日宇宙からやってきて、地球を支配した「オーヴァーロード」という種族。彼らは高度なテクノロジーによって地上に平和をもたらした。しかし、地球にやってきた真意は明かされないままだった。彼らの目的とはいったい何なのか……。

 

人類にどうしろというんだ

ストーリーそのものは面白かったです。ただ、読み終わって思ったのが「人類にどうしろと言うんだよ……」ということでした。

教訓を得るでもなく、ネガティブな感情を引き起こすでもなく、ただ呆然とするエンドでした。

でもたぶん、オーヴァーロードに真実を明かされた人類も、きっとこんな気持ちだったんでしょうね。

本当に人類は何もできなかった結末でした。いや、幼年期を抜けた人たちにはハッピーエンドなのかもしれないけれど。

どう説明していいのかわからない作品なんですが、とりあえず呆然としてみたい人にはおすすめです。

 

入れ子のような宇宙

呆然としているだけでは説明になってないので何か感想を言わなければ。

この作品での宇宙は入れ子構造のようになっています。種族として成長するとまた外側に成長した種族がいる……という。

その状況が気味が悪いような、壮大なような、なんともおさまりの悪い感じでした。

閉所恐怖症の逆で、広い場所が苦手な人もいるらしいけれど、その恐怖症を持った人ってこんな気分なのかもしれないなと思いました。

「無限」という恐ろしさ、そして人間に手の届く範囲のちっぽけさを考えてしまう作品です。

幼年期の終わり』は『人類は衰退しました』の元ネタのひとつと聞いたことがあります。なるほど妖精さんはあれなんだな……と一人納得。

 

まとめ

最後は何と言っていいのかわからなかったです。

それでも読んでいて新鮮で、面白かったです。このよくわからなさが、逆に印象に残りました。

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

幼年期の終わり (光文社古典新訳文庫)

 
幼年期の終り

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