ブックワームのひとりごと

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性行為が失われた世界で誰かを愛する 森田季節『不動カリンは一切動ぜず』感想

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不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA)

Twitterでおすすめされていたので読んでみた本です。

 

あらすじ

すべての子どもが人工授精で生まれる時代。人々は手にノードを埋め込み思念を交換していた。中学生の火輪(かりん)と兎譚(とたん)は、学校の課題である事件を調査したことから、やっかいごとに巻き込まれていく。

 

セックスができない社会に生きる

試験管で子供を作る時代。お腹から生まれた子のほうが業を背負う羽目になっているのが面白いです。

奇病によりセックスというものができなくなった社会で、なおも残る「性欲」の概念がなかなかえげつなかったです。

性行為というものがほぼなされなくなっているので、同性愛や一妻多夫、一夫多妻も許されているのが愉快ですね。ディストピア的なところもありますが、人々がそこそこ楽しくやっていて、そのギャップが面白かったです。

おかしな社会になっても、人の楽しみが完全になくなることはないのかもしれません。

 

ストーリーに少し違和感があった

ただ、ストーリーに若干無理やりなところを感じました。

ほとんどちょい役だったキャラが突然親子の関係について熱く語り出したときは、「そういうポジションじゃなかったじゃないか」と思ってしまいました。

あらすじとしては面白いんですけど、そこに至る描写があまり面白くなかったです。キャラの行動原理が白々しい感じがしました。

終盤になってくるとそれにも慣れて楽しめましたが、そこまで読むのがちょっと大変でした。

もし著者の他の小説を読むことがあったら、その辺が解消されていると嬉しいです。

特殊な世界観を楽しむ作品と割り切れば、それなりに楽しめました。

 

まとめ

内容としてはそれなりでしたが、世界観は面白かったです。

あらすじを読んで気になる人は読んでみてもいいと思います。

不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA)

不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA)

 
お前のご奉仕はその程度か? (GA文庫)

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