大学時代に読んだ本を再読。
書籍概要
貧困に陥る人には「溜め」がない――。人々を絶望させるのは、金銭的貧困だけではなく、コミュニティからの断絶もある。「貧困」を捉えなおし、搾取から脱出するすべを模索する本。
貧困を防ぐ「溜め」を作る
この本で印象的だったのは、「溜め」の概念です。
「溜め」というのはため池の溜めで、困ったときに融通できる余裕のようなものとして定義されています。
“溜め”の機能は、さまざまなものに備わっている。たとえば、お金だ。
(中略)
しかし、わざわざ抽象的な概念を使うのは、それが金銭に限定されないからだ。有形・無形のさまざまなものが、“溜め”の機能を有している。頼れる家族・親族・友人がいるというのは、人間関係の“溜め”である。また、自分に自信がある、何かをできると思える、自分を大切にできるというのは、精神的な“溜め”である。
(P78~79)
カウンセリングを受けたり、自分なりにストレス発散をするのは精神的な「溜め」を作る行為だし、人間関係を維持していくのは人間関係の「溜め」を作ることでもあります。
何も心配のいらない生活をしている人は、それが当たり前すぎて意識をしていないのでしょう。だからこそ「溜め」を作るのが難しい人のことを想像しにくいんだろうなと思いました。
お金のないことが貧困ではない
収入が少なくても、自分なりにやりくりして、他の人の助けを借りて生きていける人は、実際のところそんなに貧困ではありません。(だからといってそういう人を助けなくていいわけではないんですが)
そこから一歩踏み込んで、世の中にはお金の管理がうまくできない人、社会から孤立して助けを借りられない人がいることを考えなければならないのだと思います。
著者が貧困をシンプルに定義している部分がありました。
(前略)貧困とは、選択肢が奪われていき、自由な選択ができなくなる状態だからだ。
(P74)
貧困をもたらさないためには選択肢と、選択肢を選ぶ力が重要なのだと思います。
まとめ
10年くらい前の本なので、ちょっと内容が古い部分もあるけれど、「溜め」の話は今でも通用する話だと思います。
自分自身も「溜め」を持ち、身の回りの人の「溜め」を増やせるように工夫していきたいですね。