今日はおすすめ青春小説のまとめです。
好んで読むわけではないので、SF記事やファンタジー記事に比べてラインナップは少な目です。
しかし記事を書いていると、思い出がよみがえってきて楽しかったです。
それでは行ってみよう!
- 『青春離婚』紅玉いづき 星海社FICTIONS
- 『ガーデン・ロスト』紅玉いづき メディアワークス文庫
- 『黄色い目の魚』佐藤多佳子 新潮文庫
- 『幕が上がる』平田オリザ 講談社文庫
- 『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ 集英社文庫
- 『失踪HOLIDAY』乙一 角川スニーカー文庫
- 『ボンクラーズ、ドントクライ』大樹連司 ガガガ文庫
- 『AURA 魔竜院光牙最後の戦い』田中ロミオ ガガガ文庫
- 『ロミオの災難』来楽零 電撃文庫
- 『古典部シリーズ』米澤穂信 角川文庫
- 『樹上のゆりかご』荻原規子 角川文庫
- 『夜のピクニック』恩田陸 新潮文庫
- 『陸と千星 世界を配る少年と別荘の少女』野村美月 ファミ通文庫
- 『ニライカナイをさがして』葉山透 富士見ミステリー文庫
- 『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』桜庭一樹 角川書店
- 『青年のための読書クラブ』桜庭一樹 新潮文庫nex
- まとめ
『青春離婚』紅玉いづき 星海社FICTIONS
高校生たちが使用する、Twitterのbotやスマホアプリなど、デジタルなものをモチーフとした連作短編集。
甘いようなかゆいような恋のときめきと、何気ない言葉に宿る愛情のニュアンスが印象的でした。
少し恥ずかしくて、でも応援したくなるような恋物語が読める作品です。
『ガーデン・ロスト』紅玉いづき メディアワークス文庫
四人の少女たちの四季を、連作短編形式で描く話。
彼女らの感情の生々しさに「うわあ」と引いてしまうところもあるのですが、その生々しさも含めていとおしくなってきます。
楽園から外へ出て、大人への一歩を踏み出していく姿は、切なくも前向きな気分にさせてくれます。
『黄色い目の魚』佐藤多佳子 新潮文庫
絵を描くのが得意な少年と、イラストレーターの叔父にだけ心を開く少女が出会い……。
友情と愛情の間の曖昧な感情が、もどかしくも美しかったです。
私は特にサッカーのシーンが好きです。本気になることの怖さを、よく示していると思いました。
『幕が上がる』平田オリザ 講談社文庫
弱小演劇部は、ひとりの顧問の登場によって本気になっていく……。
演劇を作り、上演するまでの過程が面白く、演劇を知らない人でもわくわくできる内容です。臨場感があってその場にいるような感覚になりました。
ポジティブな内容だけでなく、演劇を志す人の業も含めて描いているところが好きです。
『桐島、部活やめるってよ』朝井リョウ 集英社文庫
部活を辞めたバレー部の「桐島」という少年。その周囲にいた少年少女たちを描く連作短編。
スクールカーストやオタクとリア充といった、キャラクターの対比が印象的でした。
青春の痛々しさと、行き場のない感情があふれていますが、それでいて言葉の端っこに救いも感じる内容でした。
『失踪HOLIDAY』乙一 角川スニーカー文庫
自分で自分を誘拐した14歳の少女の、てんやわんやな事件の顛末を描く。
はちゃめちゃで、斜に構えてはいるけれども、どこか優しい話でした。
結構ブラックなオチだと思うんですが、これまでの経緯がきちんと書かれているから不快にはなりませんでした。
不思議な読後感のある作品でした。
『ボンクラーズ、ドントクライ』大樹連司 ガガガ文庫
ふたりだけの映画研究部にやってきた美少女。主人公は少しずつ彼女に惹かれていき……。
三角関係もので、楽しいだけの作品ではないですが、最後は少し希望が持てる終わり方でよかったです。
ビターで苦しいけれど、バッドエンドではない。そういう終わり方が美しくて好きです。
『AURA 魔竜院光牙最後の戦い』田中ロミオ ガガガ文庫
放課後、青いローブを着た少女と出会った主人公。彼女は本物の魔女なのか……。
中二病をテーマにした作品。しかしそれをネタにするだけではなく、「不思議なこと、空想とともに生きていきたい人間」を丁寧に描き出していくところがよかったです。
疾走するギャグと、心を掘り下げるシリアスの配分が、見事でした。
『ロミオの災難』来楽零 電撃文庫
『ロミオとジュリエット』を上演することとなった演劇部の面々。しかしその台本は呪われていて……。
主人公が何もうれしくないハーレムもの。その中で、恋に悩むそれぞれの気持ちが丁寧に書かれています。
ラストの演劇シーンがはらはらしつつもとても楽しそうで、演劇を見てみたくなる作品です。
『古典部シリーズ』米澤穂信 角川文庫
謎が解けてもハッピーエンドとは言えない、苦みの残るストーリーが魅力です。
探偵役、奉太郎が少しずつえるに惹かれていくところも好きです。やる気のない、どこか達観したような彼が、徐々にえるを求めるところがロマンティックでいいです。
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『樹上のゆりかご』荻原規子 角川文庫
学園祭の準備に追われる生徒たちが、脅迫や放火などの不穏な事件に遭遇する。学園サスペンス。
『これは王国のかぎ』の続編にあたりますが、この話にはファンタジー要素はありません。
淡々と、少しずついびつな状況が示されていくところは怖いです。不安な浮遊感がありました。
『夜のピクニック』恩田陸 新潮文庫
「歩行祭」という夜通し歩く行事で、高校生たちは自分自身の人生と向き合う。
ひたすら歩くだけの単純な話なんですが、その歩く過程でさまざまなことを考え、感じ、自分なりの答えを見つけていくのが面白いです。
夜の歩行というロマンチックなテーマを、しっかり叙情的に描き出している話でした。
『陸と千星 世界を配る少年と別荘の少女』野村美月 ファミ通文庫
新聞配達の少年と、両親の離婚調停の間別荘に滞在することになった少女の淡い恋物語。
少年少女のもどかしいラブストーリーが好きです。新聞配達という一瞬の出会いを積み重ねて思いをはぐくんでいくところがとてもかわいいです。
切ない終わり方ですが、未来へと踏み出そうとする優しい結末でもありました。
『ニライカナイをさがして』葉山透 富士見ミステリー文庫
主人公は、空港で出会った少女といきなり旅をすることに……。
わがまま放題の女の子に振り回される……というとテンプレなラブコメですが、読み終わると少ししんみりする内容になっています。
南の島を旅するふたりは美しく、どこか儚いです。読んでいると旅行がしたくなってくる一冊でした。
『砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない』桜庭一樹 角川書店
山奥で女の子が死んでいた。なぜ彼女は殺されたのか……。悲劇に向かってひた走る青春サスペンス。
行動がおかしい少女、藻屑。彼女の事情が明かされたとき、ぞっとするような気味悪さがありました。
砂糖菓子の弾丸しか撃てない、子どもたちの物語です。
砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない A Lollypop or A Bullet (角川文庫)
- 作者: 桜庭一樹
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『青年のための読書クラブ』桜庭一樹 新潮文庫nex
とある女子高にある読書クラブ。そこで起こった事件を、それぞれの語り手が語っていく連作短編。
ブラックでどこかユーモアのある語り口が楽しいです。
だいたい「ありえないだろこの状況」となるのですが、嘘っぽいところこそこの作品の真骨頂だと思います。
まとめ
おすすめ青春小説記事、いかがだったでしょうか。
また、面白いものがあったら増補として書きたいです。