ブックワームのひとりごと

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絵を通してつながる少年少女 佐藤多佳子『黄色い目の魚』再読感想

黄色い目の魚 (新潮文庫)

青春小説のまとめを書いていて、そういえばしばらく読んでいないと思って再読しました。

前に読んだのは大学生くらいだったかな?

 

あらすじ

 (新潮社HPより)

 

 

この作品の好きなところは、「本気」というものの描き方。

「もっと絵を描いたら?」と言ったみのりに、木島はこう答えます。

「本気って、ヤじゃない?」

 俺が聞くと、村田は理解できないという顔つきになった。

「こわくねえ? 自分の限界とか見ちまうの?」

(P193)

このせりふを読んだ瞬間、自分自身の過去をいろいろ思い出して泣きそうになりました。ここはわかる人多いんじゃないでしょうか。

木島は、みのりとの交流を通して、自分の実力と向き合い、部活動のサッカーや絵に対して、真剣さを持つようになります。

その過程が苦しくて、でもさわやかで、読むのがやめられませんでした。

 

子どもっぽい大人たち

読み返してみると、この作品に出てくる大人は結構子どもっぽいなあと思います。

みのりのイラストレーターの叔父、通はクールそうな顔をしてなんだかんだとみのりに頼っているし、木島の母は昔の夫をずるずるに引きずっているし、似鳥もああなっちゃうあたり「大人」ではない。

でもそれが、リアリティがあって好きです。年を取ったから大人になれるんじゃなくて、年を取ったから「大人」のふるまいをする必要がある。だから大人になったところで自分の欠陥がどうにかなるわけではないんでしょう。

それでも彼らの、誰かを好きな気持ちはきっと本物だと思います。これはみのりと木島の話なので、彼らがこの先どうなるかはまったくわからないんですけれど。それでも必死で歩いてくれるといいと思います。

 

まとめ

 読み返すと「やっぱり好きだなあ」となる作品でした。

少し古い部分もあるけれど、今の学生さんたちにも読んでほしい小説です。

 

黄色い目の魚 (新潮文庫)

黄色い目の魚 (新潮文庫)

 

 

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