今日の更新は、海人井槙『はじまりの竜とおわりの竜』です。
あらすじ
人の胎から生まれ出でて、雨を降らしたり不思議な力を使ったりする「竜」という生き物。その竜にかかわった者たちと、守る者たちを描いた連作短編。
読み返すと二度おいしい作品
何より世界観が良かったです。詳細な世界観、というより、「人々が生きている」と実感できる世界観でした。竜と人間が一緒に生きる世界が、生活感にあふれています。
ストーリーも王道からは少しひねってあって、予測のつかない展開におお、となりました。それでいて、奇をてらったところがありません。
そしてゆるくつながっているようでいて、強固なかかわりがあるそれぞれの物語が面白かったです。説明が少ない作品なので、一読してよくわからない部分も多かったけれど、読み返してみると「そうだったのか」と気づけました。二度おいしい作品です。
デビュー作ということもあって、多少読みづらい部分もありましたが、それでもこの作品をもっと読んでいたいと思える作品でした。
調べてみると著者は、最近書籍を出していないようだけれど、どこかで何かを描いてくれているといいですね。
まとめ
すごく面白かったです。この世界観をもっと長く読んでいたかったです。
一冊完結でサクッと読めるので、もっといろんな人に読んでもらえればいいなと思います。