ブックワームのひとりごと

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若さゆえの傲慢さがうらやましくなる―与謝野晶子『みだれ髪』(新潮文庫)感想

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みだれ髪 (新潮文庫)

 今日の更新は与謝野晶子『みだれ髪』です。

少し短歌をかじってみようかな、ということで選ばれた本です。

 

書籍概要

歌人与謝野晶子。彼女が若さや自身の美しさ、青春や恋について詠み、運命の人の与謝野鉄幹によって発刊した。そこに現代語訳や解説を加え、読みやすいように再編集した一冊。

 

 

 自尊心の塊みたいな歌

この歌たちは自尊心の塊でした。

でも、自慢なのに面白いんですよね。高度な自慢は面白く感じるのか。初めて知りました。

ある程度キャラは作っているところあるだろうから、どのくらいまで本心なのかはよくわからないんですが、こういう傲慢さをどーん!と出してしまえる大胆さは快いです。

人間わがままになってみたいときはあるし、その願望を代わりにかなえてくれた歌集でした。

 

人の子の恋をもとむる唇に毒ある蜜をわれぬらむ願い(P97)

うわっ意地悪だなあという作品があったり、

 

罪おほき男こらせと肌きよく黒髪ながくつくられし我れ(P104)

驕りと言ってもいいくらいの大胆な作品があったりします。

この歌すごいですね。普通思ってても言わないと思います。怖いもの知らずなこの言葉、腹が立つを通り越してうらやましいくらいです。

 

彼女が歌の中で「若さ」や「恋」を賛美する一方で、人は老いるものなので、老いを自覚し始めた彼女はどんな作品を作ったのだろう?と気になりました。機会があれば調べてみたいです。

 

まとめ

めちゃくちゃ傲慢でわがままな作品だけれど、「いいぞ、もっとやれ!」という気分になる歌集でした。

清廉潔白とは程遠いですが、そこがよかったです。

みだれ髪 (新潮文庫)

みだれ髪 (新潮文庫)