今日の更新は、花福こざる『花福さんの戦争ごはん日誌』です。
タイトルとあらすじで「面白そうじゃん?」と手に取った作品です。
あらすじ
漫画家、花福こざるが戦中の食べ物を作って食べることにチャレンジ、粟(あわ)、コーリャン、すいとんなどなど。食べ物を通して、戦中の人に思いをはせ、平和への思いを強くする……。
「面白い」の域を出ない
「戦中の料理を食べる」というのがテーマで、おいしいことが必須ではないので、まずいものは容赦なくまずいと言います。そのはっきりした態度とリアクションは面白かったです。
まずかったらその気持ちを全身で表現するイラストが、見るたびにふふっとなってしまいます。本当にまずいんだろうなあ……。
自画像がお猿なのも、そのリアクションに拍車をかけています。
粟がおいしいのは意外でした。炊いておかゆ風にして食べているところが気になります。ちょっと食べてみたいですね。
梅干を置いて食べるとおいしいらしいので、どんな味がするのか想像が膨らみます。
ふわふわのおかゆとはどういう食感なんだろう。
ザリガニを食べようとするも、まったく釣れずにそのまま帰ってくる話も面白かったです。案外、いないものなんですね。ザリガニ。失敗した話をそのまま描いちゃうのに笑ってしまいます。
全体的に、のんびりしたユーモアがあって読みやすかったです。どこかとぼけた雰囲気で、ゆっくり読めました。
ただ、面白くはあったけれど、「変わった食べ物を食べてみるコミックエッセイ」の域を出なかったと思います。
作者が作中で述べている通り、今手に入る食材は、名前は同じでも戦中のものと品質がまったく違います。そういう意味で、正確な再現には至りません。
これは作者が悪いというよりも、このテーマを選んだ宿命でしょうね。
私はまがりなりにも戦争をテーマにする作品だと、「面白い」以上のものを求めてしまいます。私に読まれたのが、不運だったのかもしれませんね。
まとめ
面白かったんですけど、「面白い」の域を出ない作品だったなと。
ともあれ展開とユーモアは面白いので、それはそれで読む価値があったと思います。
この人の他の作品も読んでみたいです。
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お弁当にまつわるコミックエッセイです。