今日の更新は、三上延『ビブリア古書堂の事件手帖4』です。
久しぶりに読んだけれど、だいたい話を理解できたのでよかった。
あらすじ
とある女性から、江戸川乱歩の蔵書を売ることを引き換えに「鍵のかかった金庫を開けてほしい」と依頼された栞子。「俺」こと五浦と、栞子は妾である依頼主とその相手について調査していく。そこには、乱歩にまつわる人間関係があった。
乱歩オマージュとして面白い
ときどき思い出したように続きを読んでいたこのシリーズだけれど、今までで一番面白かったです。
詳しく述べるとネタバレになるので言えませんが、江戸川乱歩のオマージュとしても面白かったです。
いろいろなところに乱歩小説のエッセンスがちりばめられていて、乱歩の小説を読んだことのある人ならにやっとできる仕様です。
古い洋館! 交錯する登場人物の思惑! 謎の金庫! とちょっとレトロな推理小説の要素があって、懐かしさとわくわく感を同時に覚えました。
ある意味推理小説としては原点回帰な作品だったと思います。
もちろん現代ものなので、トリックや本にまつわる事情は現代的です。そこも含めて、換骨奪胎的な面白さがありました。
そして、栞子と智恵子の篠川親子の対比が面白かったです。
本のことになると、倫理観や常識抜きで夢中になってしまう智恵子と、智恵子に似たところがありながらも、人間らしいためらいがある栞子。彼女らふたりの会話は、それだけで緊張感がありました。
この対比と対立を示したのが、江戸川乱歩の小説がテーマであるこの巻であることもよかったです。異常な心理や、執着をたくさん描いた乱歩の作風が、この栞子と智恵子の関係性ともマッチしていました。
そして五浦と栞子の関係がちょっと進展したのには、不覚にもきゅんきゅんしました。
五浦のアプローチが優しくて紳士なので、君、いいやつだな……と感動しました。応援したくなります。
五浦には頑張って栞子さんを射止めてほしいです。
まとめ
すごく面白かったので、次は早めに続刊を読みたいところです。
特に五浦と栞子の恋愛関係がどう決着するのかめちゃくちゃ気になります。五浦、頑張ってほしい。
ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫)
- 作者: 三上延
- 出版社/メーカー: アスキー・メディアワークス
- 発売日: 2013/02/22
- メディア: 文庫
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