ブックワームのひとりごと

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本からわかる人間の多面性―三上延『ビブリア古書堂の事件手帖5 栞子さんと繋がりの時』感想

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ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~ (メディアワークス文庫)

今日の更新は、三上延ビブリア古書堂の事件手帖5』です。

 

あらすじ

栞子に告白した五浦。しかし、彼女には「返事は待ってほしい」と言われる。律義に待つ五浦だが、その間にも、ビブリア古書堂にはさまざまな事件が持ち込まれる。五浦は栞子の言動を測りかねるが……。

 

人の多面性が印象的

長編だった前回とは変わって、連作短編方式に戻りました。

五浦と栞子のもどかしい恋愛模様がいいですね。五浦はすごく誠実でかっこいいし、栞子は「自分は五浦を置いていってしまうのではないか」という不安を持っていて切ないです。

告白して長い間放置された五浦はちょっとかわいそうでしたが、この時間は栞子に必要なものだったんでしょう。

そして告白されたら結婚を考える栞子に笑いました。でも、そのくらい身持ちが堅いところがかわいいですね。

この巻で自分の恋愛感情に決着をつけた栞子。これからが楽しみです。五浦にはがんばってほしいです。

 

短編の一つに『ブラックジャック』が登場します。

ブラックジャックは子どものころよく読んでたので、懐かしい気持ちになりました。

手塚治虫が作品を改訂しまくっていたのは知っていたんですが、それをこういう謎解きに持ってくるのが面白かったですね。

 

彷書月刊』の話はちょうどこの間『ブンブン堂のグレちゃん』を読んでいたのでタイムリーでした。栞子もブンブン堂のグレちゃんを読んでいたのでしょうか。

書き込みに託した思いを、すべて察することは難しいですが、きっと恨みや後悔だけではないと思いたいですね。

 

『われに五月を』の話は人間の多面性の話で、いい人の悪いところが見えたり、悪い人のいいところが見えたりする話です。

「知らないほうが俺と距離を置きやすいだろ。誤解されてるぐらいがちょうどいいんだよ」

(p276)

という依頼人の門野澄夫の言葉が印象的でした。わかってもらえなくてもいい、誤解されていてもいいと言い切ってしまうところがこの人はすごいです。

 

まとめ

今回も面白かったです。次巻が楽しみです。

ものすごく気になる引きで終わってしまったので、今後どうなるか心配です。栞子は大丈夫なんでしょうか。