ブックワームのひとりごと

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学校の授業で見せられた映画みたいな小説―榊一郎『カタナなでしこ』感想

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カタナなでしこ (講談社タイガ)

今日の更新は、榊一郎『カタナなでしこ』です。

ライト文芸のおすすめ本に載せられていた本です。

 

あらすじ

高校生の千鶴は、祖父の遺品整理のときに日本刀を見つける。彼女は同級生の紗和子、鏡美、音々と、グループワークで刀の拵えを作ることになった。だが、その過程は前途多難で……。

 

ためにはなるけど面白くない

設定自体は面白かったし、刀のネタは好奇心を持って読めました。

ただ、「学校の授業で見せられる映画」みたいな印象を受けました。ためにはなるけど面白くないんですよね。

作者がこの作品で追求したいものが、心理描写なのか、ストーリーの面白さなのか、はたまた実在の人間を登場させることを生かしたメタ系の描写なのかはっきりしません。

刀の知識を伝えようという思いが先行するあまり、物語としてのクオリティが下がってしまっているんじゃなかろうか。

刀剣業界とのコラボ作品なので、ある程度はどうしようもないかとは思うんですが、ベテランなんだからもう少し話を練ってほしかったです。

 

情報にはためになる部分があって、刀の鞘は米粒でくっつけるとか、刀剣業界の現状とか、そういうネタは面白かったです。

刀の拵えについてはよくわかっていない人間なので、知的好奇心は満たされました。

ただ、それは刀についての本を調べればわかることなので、小説でそれを売るのもなあ……という。

 

文章力があるのでそこそこ読めてしまうんだけれど、惜しいところがいっぱいある作品でした。

 

まとめ

全体的に残念な本でした。いろんな意味で反面教師になりますね。

ネタはいいだけに、文句も多くなってしまいます。もう少しなんとかならなかったのか。

カタナなでしこ (講談社タイガ)

カタナなでしこ (講談社タイガ)