ブックワームのひとりごと

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【18年10月31日まで無料公開】滅びの美学を感じる終末漫画―つくみず『少女終末旅行』感想

少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)

今日の更新は、つくみず『少女終末旅行』です。

web漫画サイト「くらげバンチ」が五周年を記念していくつかの漫画を全話公開してくれているので、そこで読みました。

 

kuragebunch.com

 

あらすじ

終末世界で生きるチトとユーリ。彼女らは、多層的に作られた町の最上層を目指して旅をする。人と出会ったり、機械に遭遇したり。燃料や食料を補給しながら、ふたりの旅は続く……。

 

劇的じゃないけれど面白い

劇的な伏線やストーリーはないし、世界観にツッコミどころがなくもないんですけれど、描写にものすごい「圧」を感じます。

チトとユーリが固形食糧を食べたり、洗濯したり、燃料を補給したりするだけで言いようのないセンチメンタルな気分になります。

読み進めるほどに、苦しいような切ないような気持ちが増幅されて苦しかったです。

便利すぎる言葉なのであまり使いたくないんですが、こういうのを「エモい」って言うんでしょうね。

少女ふたりがひたすら旅をするだけで、ここまで面白く描けることがすごいです。

 

終末世界なので、たまにしかほかの人間キャラが出てこないんですが、それも効果的に配置されていてよかったです。

地図を作って歩いているカナザワという男がいるんですが、ちょっとしたゲストキャラでありながら、後半で少しだけ彼の過去が明かされるのに心がぎゅっとなりました。

飛行機を作って都市からの脱出を目指すイシイも、絶望の中であがこうとしていて素敵でした。それでいて、あのオチなのが残酷ですが……。

 

漫画絵だけどあからさまに萌えっぽくはない、少しゆるめの絵柄もかわいくてよかったです。

生々しい絵だと、逆に苦しすぎる漫画になったでしょう。このくらいのゆるさがちょうどいいです。

 

この作品の根底にあるのは「滅びの美学」で、廃墟萌えとか平家物語とかそういうものに近いと思います。

現実問題、こんなきれいな終わりなんてないだろうけれど、フィクションだからこれでいいんですよね。

失われたものに美しさを感じてしまうのは人間の業でもありますが、その業も含めて面白かったです。

 

まとめ

すごく面白かったです。

 淡々と時が流れる話なので、感想を書きにくかったですけれど、そういう淡々としたところが好きでした。

10月31日まで無料公開みたいなので、気になる方は読んでみてはどうでしょうか。

少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)

少女終末旅行 1 (BUNCH COMICS)