今日の更新は、緒方波子『鹿娘清美婚姻譚」です。
かわいいよねこの表紙。物理書籍は箔押しです。
あらすじ
奈良に住む鹿の娘、清美はお金目当てで和菓子屋の息子、善彦とお見合いする。財政難で鹿を世話する鹿の会が困窮しているからだったが、反人間派である兄に猛反対に遭い……。果たして二人は無事に祝言を上げることができるのか。
ほのぼのブラック異類婚
このほのぼのブラックな雰囲気はとても好きです。
世界観や話の展開には若干のツッコミどころがある(もっと長い連載を想定していたのかもしれない)んですが、それもあまり気にならないくらいのユーモアがありました。
異類婚のきっかけがお金目当てというのがまず面白いし、縁談が進んでもひたすらマイペースな鹿たちが笑えます。反人間派の兄のグループもなんとなく間が抜けていて憎めません。
ファンタジー系ラブストーリーなのに妙に現実的で、でも鹿と結婚するので見た目はファンシーで、そのギャップを笑いながら見ていました。
「完璧な作品ではないけれど、私は好き」と言いたくなる作品でした。好きな人は好きだと思います。
それから絵柄も好きなんですよね。わかりやすくきれいじゃないけれどどこか味があって、かわいくて。このストーリーの題材とばっちり合っていると思います。
漫画絵だけれど、過度に萌えっぽくもないし、鹿をかわいく描きすぎない。
後半に収録されているシリーズ「魔女の台所」とはかなり絵柄が違うので、作品によって絵柄を変えてきたのかなと思います。
同時収録作の「魔女の台所」はかなり幻想色の強い作品。こういうファンタジー作品はあまり深く考えず、描写の楽しさに身を任せているのがいいかなと思います。
ストーリーやテーマはよくわからない作品ですが、登場人物が楽しそうでわいわいしていて、これはこれでありだと思います。
飯テロ作品かと思いきや、食べ物ではないものを食べだしたり、突然不思議なことが起こったり、ワヤな感じが面白いです。
まとめ
「全人類におすすめしたい」というタイプの作品ではないのですが、しみじみ好きな漫画でした。
このユーモアや、どこか達観したような雰囲気が好きな人は楽しめると思います。
試し読みを読んで、気になったら購入してみてほしいです。