ブックワームのひとりごと

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錆に蝕まれた日本を旅する荒くれ者―瘤久保慎司『錆喰いビスコ』感想

錆喰いビスコ (電撃文庫)

今日の更新は瘤久保慎司『錆喰いビスコ』です。

いつかのセールで買ったもの。

 

あらすじ

お尋ね者のキノコ守りのビスコ。彼は錆にむしばまれた師匠、ジャビを助けるために、「錆喰い」というキノコを探す旅に出る。自衛団長である姉を助けたいミロも相棒に加わって、東北に向かうのだが……。

 

詰め込みすぎだけどそれも作風

錆喰いビスコは、錆にむしばまれた未来の日本が舞台。

群馬と埼玉を 繫 ぐこの南関所を通る人間など、ほとんど存在しない。関所を 抜ければ、 異形 のうごめく 埼玉鉄砂漠 がただ 荒涼と広がり、その向こうには、かつて東京と呼ばれた場所に、でかい穴ボコがドカンと空いているだけ

(位置 54)

私はこういう「何を言ってるんだ」感が大好きなんですよ。

この『錆喰いビスコ』、かなり少年漫画を意識している作品だろうなと思います。それもただ漫画をノベライズしたような作品にするのではなく、きちんと小説として作り替えられています。

 

ストーリー展開がかなり早く、読者をぐいぐい引っ張っていく感じがいいですね。続きが気になってどんどん読んでしまいます。

複雑な筋がある作品ではないんですが、勢いがあるのでシンプルなストーリーでも楽しく読めます。戦闘シーンのかっこよさ、奇妙で愉快な世界観、荒くれ者たちのにぎやかな旅路。そういうシチュエーションが出し惜しみせずどんどん出てきます。

盛りだくさん過ぎるだろ、と思いそうなところですが、詰め込みすぎといっていいほどのストーリーも、「これが作風」と納得できるバランスがあります。好き勝手に書いているように見えて「上手い」んですよね。

 

ただ、キャラクターの関係性や書き方がちょっと私好みじゃなかったな、と思いました。

主人公ビスコ、くらげ少女やパウーの扱いが悪いのがちょっと……。私はイケメンになって女の子を口説きたい人種なので、ヒロインを雑に扱う主人公にはあまり萌えられないんだなと気づきました。

でもくらげ少女もパウーもきっちり言い返してるし、これはこういう対等な関係性なんでしょうね。

 

まとめ

流行るのも納得感がある作品でした。私好みじゃない部分もあるけれど、それがあっても面白いです。

気が向いたら、続きも読んでみたいですね。

錆喰いビスコ (電撃文庫)

錆喰いビスコ (電撃文庫)