ブックワームのひとりごと

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ある日家族が犯罪者になったら―松橋犬輔・北尾トロ『裁判長!ぼくの弟懲役4年でどうすか』感想

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裁判長! ぼくの弟懲役4年でどうすか

今日の更新は、松橋大輔『裁判長!ぼくの弟懲役4年でどうすか』です。

松橋「大」輔だと思っていたんですが松橋「犬」輔なのか。どうりで検索にひっかからないと思いました。

 

あらすじ

裁判漫画を描いていた著者の弟が突然逮捕された。容疑は売春防止法違反。裁判の経緯、弟への思い、母親の動揺を著者は漫画として記録していく。ある意味、一番リアルな裁判エッセイコミック。

 

ある日弟が犯罪者になったら

「ある日、家族が犯罪者になったら……」という、一番考えたくない展開を赤裸々に語っています。

 

著者の弟は、普通に会社で働く社会性があるものの、どこか成り行きで生きていて、通常の人が思いとどまるような部分でアクセルを踏んでしまうタイプ。 

その性質が災いして、未成年を売春業者に斡旋するという罪を犯します。

著者が留置場に面会に来たとき、弟はこう言います。

「なんかこの状況笑えるよな」

(P53)

ある意味浮世離れしていて、現実がきちんと見えていないふしがあります。こういう人間だからこそ、犯罪を犯してしまうのでしょうね。

 

弟にしっかり反省してほしい著者は、なるべく重い刑罰を望みますが、母親は、刑の軽減を望みます。

そのために証言台に立ち、「彼は本当は優しい子なのだ」と主張します。

 三兄弟のふたりが「こいつはどこかヤバい」と思っているのに、母親はその弟を信じて疑わない。その「うちの子に限って」という真摯な思いが逆に痛ましいです。

うちのきょうだいには犯罪者になるような人はいませんが、万が一なることがあったらこんなに家族に苦労をかけるんですね。

やっぱ、犯罪はやらないにかぎりますね!

 

まとめ

犯罪はよくないな、と当たり前のことを改めて示してくれるエッセイコミックでした。 

著者の弟が反省してるかは微妙ですが、とりあえずもう家族を悲しませないであげてほしいです。