今日の更新は、『子どもの貧困連鎖』です。
新潮文庫のノンフィクションは結構読んでみたくなってしまうんですよね
あらすじ
近年深刻化する子どもの貧困。定時制高校に通う子どもたちや、保健室で給食の残りのパンをかじる小学生。彼ら彼女らに取材し、具体的な「子供の貧困」を明らかにするノンフィクション。
世の中でもできることはある
貧困に陥る親たちに共通しているのは、「忙しすぎて生活保護をはじめとする福祉サービスを利用する暇がない」ということ。
ダブルワークトリプルワークで疲弊し、子どもの相手をする暇もない。まさに「貧乏暇なし」なんですよね。
福祉サービスの充実ももちろんなんですが、雇った人間をできるだけ働かせてしまう会社のほうにも正直責任があります。
有休をとりやすくしたり、残業をなくしたりするだけでだいぶ違うのに。
このあたりは行政だけの問題ではないと思いました。
一方で救いだったのが、部活を始めて生活に目的を得て、非行や無気力が治った少年たちの話です。彼らは貧困によって人生に行き詰っていましたが、部活によって生活リズムを取り戻します。
それを思うと、部活の役割はただ単にスポーツをするだけではないんだなと思いました。教師の長時間労働の原因と言われている部活ですが、こういういい側面もあるんですね。
お金ももちろん必要ですが、生きる目的を得ることが、貧困の脱出に繋がる。そのことにほっとするものがありました。
行政がどうとか政治がどうとかももちろん大切ですが、世の中のほうでもできることはある。そう思わせてくれた本でした。
私も今なんとか暮らせているのは、ぶっちゃけ親のおかげなので、彼らがいなかったら貧困のただなかにいたかもしれません。そう思うと、他人事ではないんですよね。
私が生きてるのは運です。福祉というのはそういう運要素をなるべく公平にするためにあるのではないでしょうか。
まとめ
ハードな内容でしたが、貧困について考えるきっかけになりました。
そういう子どももいる、と理解するとともに、貧困と戦っている人への協力が必要だと思いました。
家庭問題に興味がある人はこちらもどうぞ。
殺人犯の生い立ちなどを語る本です。