今日の更新は、ジョナサン・ストラウド『バーティミアス サマルカンドの秘宝』の再読感想です。
あらすじ
ジンのバーティミアスを召喚したのは、十二歳の少年魔術師ナサニエル。彼は自分に恥をかかせた魔術師に復讐すべく、バーティミアスにアミュレットを盗ませた。そのアミュレットには秘密があり……。
性格の悪い主人公が面白い
読み返してつくづく思いましたが、ナサニエルは本当にクソガキですね。
高慢でわがままで、特権意識が強くて、愚かで。こんな子どもをお守りしているバーティミアスがかわいそうです。
しかし一方で、その人格形成は環境のせいでもあります。幼児のころに親から引き離され、ひたすら魔術師の知識と、歪んだ特権階級意識を教育されたナサニエル。そのような場所で育ってしまうと、性格の最悪な子どもに育ってしまうのもわかります。
学生時代は「どうしてこんなにクソガキに書くんだろう(面白いけど)」と思っていましたが、妖霊と人間の、奇跡のような友情を描くには、こういう最悪なスタートから始めなければならなかったのだろうと気づきました。
作品の展開そのものも非常に面白いです。何にでも化けられるバーティミアスの能力を生かして、さまざまな動物や人物の形で行われるアクションがすごく楽しいです。
魔術師に召喚されてこき使われる妖霊たちの気苦労も、つらいだろうけれどちょっと笑えます。ブラック企業で働いてるサラリーマンみたいですね。
そしてこの作品の特徴は脚注ですね。本文の下にバーティミアス自身による脚注がついているのですが、それが非常にコミカルで面白いです。世界観の豆知識も得られてお得です。
まとめ
再読なので展開は知っているけれど、それでも続きが楽しみです。
がんばれバーティミアス! と応援したくなる本でした。
バーティミアス1 サマルカンドの秘宝 上 (静山社ペガサス文庫)
- 作者: ジョナサンストラウド,金原瑞人,松本美保
- 出版社/メーカー: 静山社
- 発売日: 2018/10/11
- メディア: 新書
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