書籍概要
自閉的な資質を持ちながら、知能の遅れのない高機能自閉症として生まれたニキ・リンコと藤家寛子。ふたりは日常生活を送るのにも一苦労。「自閉っ子」としての生活を対談形式で語る本。
なかなかカルチャーショックな本でした。
体の感覚を失う、嗅覚が過敏でお米を研いだ回数までわかる、体温調節が苦手……。
私もアスペルガーではあるんですが、ここまで極端な自閉はないんですよね。「自閉症は身体障害」というのはなるほどなと感じました。
そして同じ発達障害であっても、それぞれ得意なこと不得意なことの傾向が違えばまったく違う世界に生きていることがわかりました。私ですらびっくりしたもん、この本。
身体的な自閉の症状のほかは、想像力がうまく働かないところが面白かったです。
教室にやってくるクラスメイトは、教室の備品だと思っていたり、聞き手である社長が人間だということがなかなか腑に落ちなかったり。
ここまで来ると価値観というより世界観ですね。
こういうのを聞くと、よく高機能自閉症の人が「宇宙人」にたとえられているのは的確だと思います。うっかり地球に不時着してしまって途方に暮れているんですよね。
印象深かったのはこの文。
知的な遅れのある自閉症と比べて、「高機能の方が上」とされていることについて、ニキ・リンコはこう述べます。
なんか、色の白い、白人に近い黒人の方が上、って言われたような不愉快な気持ちになります。定型発達に近ければ近いほど上、って思われているのがいや、っていう感じでしょうか。
(P132)
この言葉にはちょっとどきっとしました。自分も「知能が高いほうが上」と無意識に思っていた気がします。だけどそれは、知的に遅れのある人だけでなく自分にも失礼だったかもしれません。
こういう的確な言葉がごろごろ出てくるので読んでいて楽しかったです。
まとめ
自分とは傾向の違う発達障害の本でしたが、それでも「こういうことがあるのか」と興味深く読みました。
また機会があればシリーズを読みたいです。
続 自閉っ子、こういう風にできてます!―自立のための身体づくり
- 作者: 岩永竜一郎,ニキリンコ,藤家寛子
- 出版社/メーカー: 花風社
- 発売日: 2008/12/01
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 5回
- この商品を含むブログ (6件) を見る
この本にも出てくる、泉流星のエッセイもおすすめです。
発達障害の日常生活がわかります。