今日の更新は、小野不由美『風の海 迷宮の岸』の再読感想です。
あらすじ・書籍概要
黄海の蓬山にて、次代の麒麟を生み出す泰果が生った。しかしそれは蝕によって流され行方知れずになる。ようやく見つかった泰麒は、現代日本で育ち麒麟の力をほぼ眠らせたままだった……。
汕子かわいい、最高
王を選び、王が道を失うと病になり死ぬ生き物、麒麟。
しかし泰麒は蓬莱(日本)で育ったことで麒麟らしい能力を失い、それゆえに「自分は役に立てているのか」と葛藤します。
十歳の子どもが悩むことじゃないだろう! とも思いますが、延麒も子どものころから聡かったからそういうことなんでしょう。
泰麒が女仙たちと遊ぶシーンは十二国記では珍しい純粋なほのぼのシーンです。なごむ。
あと人外好きとしては女怪の汕子もかわいくて好きです。親のいない麒麟の乳母替わりを務める特殊な生き物で、女の体にさまざまな動物が混ざっています。表紙左下のキャラですね。
妖物のたぐいでありながら神獣に仕え、母性愛に満ち溢れているけれど戦うと強く、人外ゆえの残酷さもあります。好き。
そんな泰麒の目の前に現れるのが、今回が初登場の驍宗。
彼はめちゃくちゃかっこいい人なんですが、『黄昏の岸 暁の空』でああなるのも「なるほどな」というところがあります。
驍宗は、「自分が王に選ばれるに違いない」と思っているところがすごいし、実際選ばれるところがもっとすごい。
王者の強さと優しさと知力と、それゆえの傲慢さがあります。全力で走るので周りがついていけないんですよね。
驍宗が臣下の手綱を握るのではなく、臣下が驍宗の手綱を握らなければならなかったのかもしれないと今なら思いますね。
十二国記にしては珍しく徹頭徹尾さわやかな雰囲気で進みます。今後のことを思うと喜んでもいられないけれど。
また『黄昏の岸~』も読み返したいなあ。
まとめ
やっぱり汕子かわいいなあ、とこんなほのぼのした泰麒が『黄昏の岸~』であんなことに……というふたつの気持ちが交差していました。
またほかの作品も機会があったら読み返したいです。
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