あらすじ・書籍概要
江戸に生きた女性画家たちは、女性ゆえに社会通念との軋轢に悩み、よりよい創作環境を模索していた。江戸時代から明治時代にかけて、絵を志した女性たちの人生を伝える本。
創作と社会通念のあいだ
主に江戸時代の女性画家たちのエピソードを紹介しているのですが、それぞれ興味深いです。
出家しようとして断られ、顔を焼いた人。
陶器の器が売れすぎて、代わりに作ってくれる男性を雇った人。(おかげで彼女の作品は贋作だらけらしい)
漢詩に創作の素晴らしさと、孤独の寂しさを乗せる人。
あまり一人の作家に対して掘り下げはしていませんが、これは資料が少ないからかな。
江戸時代の町民世界は完全な男女分業ではなく、家計を担う女性や男性と同等の発言力を持つ女性もいました。しかしやはり男女差別はあり、彼女らは「家庭を担うべき」という圧力と、戦ったり、 画業と両立しようと模索したりします。
今も男女差別はあるけれど、「うるせえ黙ってろ!」と言えるだけまだ恵まれていますね。
そのような気苦労の中でも、彼女らの聡明さや創作意欲を理解してくれる父親や伴侶がいます。それは彼女らにとって救いだったでしょう。
女性画家たちの能力を愛し、男と同等の教育を施してくれたり、結婚後も絵を描くことを理解してくれたり。
そんな男性がいることが、現代を生きる私としてもうれしかったです。
後半部分は作品紹介になっているので、文章量としてはそれほど多くありません。
厚みのわりにさくっと読めます。
絵を描いている人なら、共感するところも多いのではないでしょうか。
まとめ
知らないことが多くて興味深かったです。
よくわからなかったところも少しあるので、関連書籍があれば読んでみたいです。