今日の更新は、石田リンネ『十三歳の誕生日、皇后になりました』です。
あらすじ
皇帝に後宮入りを願い出ようとしたところ、皇位簒奪が起こり、流れで新皇帝暁月の皇后になってしまった莉杏(りあん)。十三歳の彼女は皇后の務めを果たそうと、宮廷の中の謎に挑む。
謎解きに「らしさ」があるのがいい
買ったときには謎解きものだとは思わなくて、莉杏が皇帝のためにあれこれ調べ始めたのには驚きました。
私はミステリ好きとはいいがたいのでトリックの良しあしはよくわからないのだけれど、動機と行動にそれぞれ「キャラらしさ」があってそこは面白かったです。
ちょっとした思惑のずれが事件を起こしたり、いやがらせかと思いきや実は……だったり。意外性がありつつ、きちんとストーリーに応じた「らしさ」だったので楽しめました。
あらすじだけを見るとそれほど好きなタイプの作品ではないんですが、それでも面白いと思えるきっちりとした作品でした。物語全体に説得力があります。
莉杏みたいな天真爛漫な少女は個人的にはうまく共感できないのだけれど、周囲が彼女を甘やかしすぎないところがよかったです。優しくするし、尊重もするけれど甘くはない。莉杏もそれに応えて工夫したり努力したりする。その関係が心地よかったです。
皇帝としていつも気が張ってばかりいるだろう暁月が、莉杏に癒されるのもなるほどなと思います。
兄妹のような、親子のような、それでも他人であるおにロリコンビはかわいらしかったです。
今後も苦労は多いだろうけれど、ふたりにはいつまでも仲良くしていてほしいです。
まとめ
完全にノーマークな作品だったんですが、楽しめてよかったです。
『茉莉花官吏伝』のスピンオフらしいので、そちらも気が向いたら読んでみたいです。